3L車より小さなバンパーが特徴
日産の高級車として長らく親しまれたセドリック/グロリアが消滅して、もうだいぶ長いことになる。セドリック・セダンは営業車として10年ほど前まで存続していたものの、グロリアの名はそれよりさらに約15年前に途絶えており、オーナードライバー向けのハードトップはY34型系を最後に、今から20年ほど前にその歴史に幕を引いている。しかし、セドグロのファンは今も少なくないし、さらには若い世代をも虜にしているようだ。
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四角く、押し出しの強いスタイルが特徴のY30型系セドリック/グロリアも、そんな根強い人気を誇る世代のひとつであろう。セドリックとしては六代目、グロリアとしては七代目にあたるY30型系は、1983年6月に登場した。このY30は、ホイールベースの延長やサスペンションの刷新など色々と変化が大きかったが、方向性としては先代・430型系のキープコンセプトであった。
ボディ形式は先代同様に、4ドア・ハードトップと4ドア・セダン、そしてワゴン/バンの3種類。スタイリングも先代に似た雰囲気のものだが、430では逆スラントと後下がりのウェストラインがスピード感や軽快さを演出していたのに対し、Y30では水平垂直を基調とし、押し出しを重視したものとなっていた。セドリックとグロリアの違いは前後デザインの細部のみとなっており、セドリックでは格子グリルが特徴となるのに対し、グロリアでは伝統の十字モチーフをはめ込んだ逆台形グリルを採用、テールランプも台形となっていた(ハードトップ)。
ホイールベースは二代目セドリック以来2690mmで不変であったが、Y30では2730mmと、40mm延長されている。またフロントサスペンションも初代以来継承されてきたダブルウィッシュボーンから、マクファーソンストラットに変更。一方、リアサスペンションは先代の5リンク式を踏襲している。しかし、技術面での最大の話題は、国産初となる量産型V型6気筒エンジンを搭載したことであろう。
これはもちろん当時新開発のVG型のことだが、この後1990年代にかけて、セドグロやローレル、フェアレディZなどを、このVG型が支えていくこととなるのである。デビュー時はSOHCのみで、Y30とともに登場した当初は、3LはNAのみ(VG30E)、2Lはターボ(VG20ET)とNA(VG20E)という布陣であった。同年9月にはフェアレディZのモデルチェンジとともに3LターボのVG30ETも登場、このエンジンは1984年6月からセドリック/グロリアにも採用されている。
登場2年後の1985年6月にはマイナーチェンジを実施、クリアランスランプやフォグランプをあしらった華やかなフロントマスクが特徴となった。このとき2LターボのVG20ETが、可変ノズルターボ(日産ではJETターボと呼称)へと進化している。1987年6月にはフルモデルチェンジを行いY31型系へと進化したのだが、ワゴン/バンはそのままキャリーオーバーとなり、WY30(ワゴン)/VY30(バン)のまま、1999年まで生産・販売が続いた。
ただの2L化でなく『あぶない刑事』登場車両をモチーフに制作
先代430の人気を受けてのものであろうか、Y30もプラモデル化は意外と少なくはなく、アオシマ、ニチモ、フジミの三社から1/24スケール・キットが発売されている。アオシマとフジミは何度も再販を繰り返しており、特にアオシマは純正アルミの追加やセドリック/グロリア選択式への進化などを行って、現在も容易に入手可能であるのはありがたいことだ。
アオシマのY30は実車デビュー翌年に製品化されたもので、当初はVG30E搭載のブロアムVIP(このグレードはデビュー当初にはなく、1984年1月に追加された)を再現したキットとなっていたが、実車の3Lターボ追加に伴い、パーツを追加してVG30ET搭載のブロアムVIPへと改修されている。
ここでお目にかけているのはこのキットを制作したものだが、ただの素組みではなく、バンパーなどに手を加えて、2リッターのターボSGLへと改造した作品だ。ナンバープレートの文字でピンとくる方もいらっしゃるのではと思うが、ドラマ『あぶない刑事』の登場車両をモチーフとして制作している。その工作については、写真に付したキャプション、そして追って公開する後編の記事をじっくりお読みいただきたい。
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