細かな作り込みに注目!タミヤ製プラモ「NSXタイプR」から「タイプS」を再現する・後編【モデルカーズ】

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快適F1とサーキット走行のせめぎ合い

タミヤ製1/24スケール・プラモデルのホンダNSXタイプRをベースにNSXタイプSへと改造した作品については、前編の記事(下の「関連記事」参照)ですでに述べた。ここでは、初代NSXおよび同タイプSの実車について、あらためて振り返ってみよう。

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1990年に発売となったNSXだが、その開発は1985年秋から本格的に始められたという。コンセプトは「快適F1」――当時ホンダが目覚ましい活躍を見せていたF1での技術力を反映しつつも、ドライバーを緊張させるスパルタンなクルマではない、解放するスポーツカーである、というのがその趣旨だった。NSXがいよいよそのベールを脱いだのは1989年2月のシカゴモーターショーでのこと、この時の車名はNS-Xであった。

正式に発売となったのは翌1990年9月。ボディサイズは全長4430mm/全幅1810mm/全高1170mm。若干細長いプロポーションのボディであるが、これはホイールベースが開発途中で延長されたこと、リアに実用的なトランクルームを具えたことなどによる。オーバーハングの長さは、トランク以外に空力性能の向上も理由とされた。

そのスタイリングは、NSXがスーパースポーツであることを見る者にすんなりと納得させるもので、ロングテールなこともあり、自然なキャビンフォワード・スタイルでまとめられていた。モチーフとなったのはジェット戦闘機F-16ということで、キャノピー的な形状のグリーンハウスが特徴だったが、これは同時に前後の視界を大きく採るという目的にも適ったものである。リアデッキ後端にスポイラーを一体化しているのも特徴であった。

乗員の背後に置かれて後輪を駆動するエンジンは、レジェンド用のV6をベースに開発された3L DOHCのC30A型。インテグラなどに採用されていたVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)を採用し、最高出力は280psを発揮する。トランスミッションは5速MTと4速ATで、AT車のエンジンは265psにデチューンされていた。サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン、ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクとなる。

NSXにおける自動車技術的トピックにおいて、最大のものと言えるかもしれないのが、オールアルミ製ボディだ。量産車としては世界初であるとも言われるほどの挑戦であったが、その理由はやはり軽量化である。NSXの開発にあたってはパワーウェイトレシオを5kg/psに設定、そこから割り出されたのが車両重量200kg削減という目標だったという。ホンダ技術陣はボディを全アルミ製とすることでこの目標実現に成功、車両重量は1350kgであった。

タイプRからふたつのタイプSへ
1992年には、ピュアスポーツとしての方向性を追求し、サーキットでの走行も視野に入れたグレード、タイプRが登場。初代NSXの開発テーマは前述の通り「快適F1」であったが、一方では開発チームの中でもピュアスポーツを志向する心情があり、それが結実したのがタイプRだったという。

その特徴はまず徹底した軽量化で、バンパービームやドアビームのアルミ化、遮音材や制振材の撤廃、快適装備の省略などによって、重量を120kgも軽減。エンジンは標準モデルと同じ3L V6 DOHCだが、クランクシャフトやピストン、コネクティングロッドの重量やバランスの精度を高め、レスポンスの向上を実現した。サスペンションはダンパーやスプリングを強化、ホイールはエンケイ製専用アルミ、室内にはレカロのフルバケットシートやMOMOのステアリングホイールなどが奢られていた。

こうして、「レーシングカーに最も近づいた市販車」と評価され強いインパクトを与えたNSX タイプRだったが、1995年のマイナーチェンジでラインナップから落とされてしまう。その後継的意味あいで、1997年のマイナーチェンジにおいて追加されたのが、タイプSおよびタイプS-Zeroであった。通常のモデルをベースに徹底したチューンを行いつつも、サーキットでの走行性を重視したタイプS-Zeroと、公道でのドライビングの楽しさをテーマとしたタイプSのふたつに分離した、と考えると分かりやすい。

まずタイプSに絞って述べるが、その特徴はやはり軽量化で、快適装備を維持しつつも約45kgを削減。これは効果にして10psアップに相当するものだという。エンジンはこのマイナーチェンジでMT車のみ排気量を3.2Lにアップしており(C32B型、最高出力は280psで変わらず)、ミッションも6速MTとなるのだが、これはタイプSも同様である。サスペンションは専用のセッティングを採用、ホンダでは「確かなステアリングインフォメーションを確保しながら、よりニュートラルなステア特性を示す」としていた。

またホイールは、専用デザインとなるBBS製鍛造アルミホイールを装着、これによりバネ下重量4kg軽量化になるという。コクピットにはタイプR同様に、レカロ製フルバケットシート、MOMO製本革巻きステアリングホイール、チタン製シフトノブなどが装備されていた。タイプS-Zeroは上記のような内容に加え、さらに快適装備の省略などによって約96kg(標準モデルとの比較)の軽量化、ハードセッティング・サスペンションの採用などがなされ、サーキット走行のチューニングベース車として応えられるものとなっていた。

この後、2001年12月にNSXはマイナーチェンジを行い、ヘッドライトを固定化するなどの比較的大きなデザイン変更を行った。この時タイプRの復活も予告され、2002年5月にはNSX-Rとして発売されるのだが、これに伴いタイプS-Zeroは廃止。一方、タイプSは2005年12月のNSX販売終了までラインナップされ続けていた。

作例制作=飯塚健一/フォト=服部佳洋 modelcars vol.234より再構成のうえ転載

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2023/10/23 17:40

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