戦後のスポーツカーブームに対するフォードの回答
1953年にデビューしたシボレー・コルベットの対抗馬として、1954年秋に1955年型としてデビューしたのが、フォード・サンダーバードである。
戦後アメリカの自動車市場において、ヨーロッパ製スポーツカーの高人気は際立っており、コルベットとともにそれを受けての商品企画とも言えるが、サンダーバードのコンセプトはスポーツカーではなく、どちらかと言えば高級パーソナルカーというべきものであった。
既存のコンポーネンツを利用しつつデザインされた、ホイールベース102インチ(2591mm)の短いシャシーの上には、2シーターの専用ボディを架装。そのルックスは、低く抑えた全高と無駄を削ぎ落したシンプルさが特徴であったが、ヘッドライトやテールランプ/テールフィン周りには、通常のフォードとの共通性が持たされていた。エンジンはYブロックのV8で292-cid(4.8L)、4バレル・キャブレター装備のユニットを搭載。最高出力は198hpだが、マニュアルシフト用では193hpとなる。
翌1956年型での変更点はごく小さな部分にとどまった。最大の特徴は、スペアタイヤのコンチネンタルマウントが標準化されたことだが、これはトランク容積アップが目的であった。また、車内の通気性改善のためベンチレーターが前輪の後ろに新設されている。これはルーバー状のメッキパーツの部分ではなく、その下のボディパネルに設けられたリッドのことだ。同じ目的でベントウィンドウ(三角窓、と言えば通りが良いのだが形状は四角)も設けられている。
さらに後方視界拡大のため、ハードトップの側面には丸窓がオプションで設定された。サンダーバードのルーフとしてはこの着脱式ハードトップが標準設定であったが、ソフトトップも選択することは可能であった。エンジンは前年同様V8のみだが、292-cidに加え、312-cid(5.1L)がオプションとして新登場。292は最高出力が202hpにアップ、312は225hpだが、MT車用は215hpとなっていた。翌年はさらにスタイリングを変更、フロントバンパーやテールフィンを大型化したのち、1958年型でのフルモデルチェンジで、4シーターのラグジュアリーカーへとコンセプトを一変させた。
フルディテールながらモールドや素材感はあまり良くなく……
さて、この初代サンダーバードについては、モノグラムによる1/24スケールの名作キット(1956年型)があり、AMTでは1/25スケールで1957年型をキット化、どちらも再販が繰り返されていた(前者は昨年にも再販されている)。ここでご覧いただいているのはそのどちらでもなく、2004年に新金型キットとしてリリースされた、AMTによる1/25スケールの1956年型(31966)を制作したものだ。以下、作例の作者・周東氏による解説をお読みいただこう。
「2004年に発売されたこのキットの第一印象は、まるでダイキャストモデル用金型の流用品、という感じだ。パーツ自体にもどことなくシャープさがない。使用されているプラスチック自体がとても柔らかいので、制作には注意が必要だ。
ボディは全体形はよいが、ふたつ問題点がある。一点目はヘッドライト周り。ここはパーティングラインと筋彫りが重なっているためか、ラインが太く、乱れて見える。さらにこのラインはライト周りを一周しているはずだが、1/4ほどが消えている。金型の都合もあろうが、修正が難しい所なので何らかの工夫は欲しかった。作例では筋彫りをサフェですこし埋め、紙ヤスリで整えて修正。
二点目はボディ後端左右のヒケ。ここの修正はボディの断面形状やエンブレムのモールドを崩さぬよう、充分な注意が必要だ。そのほか、エンジンフードはエアスクープの後端部分が立ち消えたようになっているので、紙ヤスリでラインを整えておく。スクープ前端のメッキパーツも合いがよくない。ハードトップはとても肉厚で、ウィンドウモールの段差は考えものだ。
インテリアはフロアと前端部分の合いが悪く、隙間ができるので、パテによる修正が必要。ダッシュボードも同様だ。シャシーはフロントサスのパーツに少し隙間が出来る箇所がある。また、ステアするのはよいのだがガタつきが多いので、スピンドルのピンを太くするなどの調整をした方がよいだろう。リアのショックアブソーバーは省略されている。
シャシーとフロアパンの位置決め用のピンは少しキツいので、修正が必要だ。さらに、フロアパンの後端左右のエキパイと重なる部分は、段差の分を削除。そのまま組むとエキパイがボディ下面よりはみ出してしまう。車高およびトレッドはキットのままでOKだ。
ボディカラーはチップもチャートも入手できなかったが、一応カラーコードZの「SAGE GREEN」を再現している。クレオスのC66デイトナグリーンにGX1クールホワイトとC2ブラックをブレンドしたものをペイント。クリアーはGX100スーパークリアーⅢを使用。インテリアは、GX1クールホワイトとC69グランプリホワイトを混ぜたものと、ボディカラーのツートンとした」
■関連記事
- 元祖!アメリカン・スポーツカーなのだ!AMT製プラモ「1953年型コルベット」をシャープに制作【モデルカーズ】
- 6歳から60歳のお子様に!その歴史は今から65年前、1958年に始まった…【アメリカンカープラモ・クロニクル】第6回
関連記事
DTMのBMWからNASCAR、さらに3輪トラックまで!プラッツ取り扱い海外プラモ、注目の新製品【CARSMEETモデルカー俱楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.11.15
爆発!的人気のTVドラマ車両がプラモ界も席捲!?その力を最大化したのは…【アメリカンカープラモ・クロニクル】第38回
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.11.09
屋根が外れる!オーディオルームが見える!!ニチモの超傑作「タウンエース」 名作キット列伝・第4回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.29
可愛い真っ赤な「大人のオモチャ」に激震!?…1978年最速の1台がコレ!!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第37回
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.26
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>