元祖!アメリカン・スポーツカーなのだ!AMT製プラモ「1953年型コルベット」をシャープに制作【モデルカーズ】

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フレームは専用設計だが基本コンポーネンツは流用

第二次世界大戦後、若い兵士たちが欧州から持ち帰ったMGなどに触発され、アメリカならではのスポーツカーとして生まれたのが、シボレー・コルベットである。同じような生い立ちを持つフォードのサンダーバードが、年々スペシャリティ的性格を強め、4シーターや4ドアへと発展したのとは対照的に、コルベットはあくまでスポーツカーを標榜し続け、独自の地位を築いてきた。

【画像23枚】メッシュのライトカバーも麗しいコルベット、そのディテールを見る!

この初代モデルが登場したのは1953年のこと。GM独自の移動式モーターショー“モトラマ”(同年1月から)でお披露目されたのだが、GMとしては発売は翌年型からというつもりであったそうだ。しかし、その反響はあまりに大きく、予定を変更して速やかに市販へと移されたのである。そのため、通常は9月に翌年型のモデルが登場するのが慣わしのアメリカにあって、コルベットは1953年6月から1953年型として生産が始まった。販売期間は9月から12月までであり、そのため同年型コルベットの生産台数は315台にすぎないという。

当時のGMスタイリング部門責任者ハーリー・アールの肝いりで作られた2シーター・ボディは、欧州スポーツカーと宇宙イメージを融合させた、といった体の魅力的なものだった。モトラマで発表されたものとは、サイドモールと突起状のアクセントや車名バッジの関係が上下逆の配置となるなど、微妙なところが変更されている。ホイールベースは102インチ(2591mm)と短く抑えられ、重心も低い。車体はほぼコルベット専用に新規に設計されたもので、ボディパネルにはFRPが使用されている。

とはいえ、搭載エンジンは既存ユニット流用の直列6気筒235-cid(3.9L)でしかない。ただし、圧縮比を上げキャブレターを3連装とすることで、最高出力は115hpから150pにアップされていた。変速機は2速ATのみ、サスペンションもシボレーのセダンからの流用で、フロントはダブルウィッシュボーン、リアはリーフリジッドという、当時のアメリカ製乗用車としては常識的なものであった。こうしてデビューした初代コルベットは、以後、V8やMT、フューエルインジェクションの採用などを行い、スポーツカーとしての脱皮を重ねていったのである。

色々試行錯誤したが、結局は専用エッチングがベター
1953年型コルベットの実車デビュー当時には、アニュアル・キットを発売するという慣習がまだなく、1/25スケールのプラモデルは、AMTから1976年にリリースされている。1/24ならばモノグラムのものもあった。AMTのキットはこののちのAMTアーテル時代や、近年のラウンド2傘下となっても再販が続けられているが、ここでご覧いただいているのは、1976年のオリジナルキット(T310)を制作したものだ。以下、作者・畔蒜氏による解説をお読みいただこう。

「1953~1955年型を作るにあたって最大の問題はヘッドランプ周りの再現だ。キットにはメッシュがモールドされた透明パーツが付属するが、実際はこれは『金網』(ストーンガード)で、その奥に丸型のヘッドランプが存在する。モノグラムの1953年型も同じようなパーツになっているので、実物を知らないと、ライトレンズか透明なカバーと思うかもしれない。かつての私もそうだった。では、このメッシュをどう再現するか?

まず、金属メッシュを棒でこすって半球形にしてみた。粗いメッシュだとワイアーが太すぎ、細いメッシュでは隙間が細かすぎてしまう。エッチングメッシュにも適当なものが見つからなかった。そこで見つけたのがModel Car Garageのエッチングパーツだ。そのものズバリ、1953~1955年型コルベット用のセットがあり、バッジ類とともにメッシュがセットされている。外形サイズが僅かに大きく、モノグラム1/24の1953年型にも対応可能だ。

パーツはメッシュ部分だけなので、リム部分を再現する。ボディ内側からライトハウジング受けを全て取り除き、オプションパーツのライトカバーをボディに接着。メッシュ部分をくりぬいてリム状にしてからメッシュを貼った。ライトハウジング一体のヘッドランプはキットパーツがそのまま使える。メッシュの太さは実測で0.2mmであるが、結果としてやはり太い印象がある。もう少しリアルにするには、0.1mmの洋白線を編むしかないだろう。

さて、肝心のボディプロポーションは概ね良好と思われる。ただし、この時代のキットの特徴かも知れないが、パーツの抜けテーパーがきつく、随所に型抜きピンの跡が出ている。惜しいのはウィンドシールドで、前から見てもう少しなだらかな丸みが欲しいところ。

前後のトレッドは1.5mmほど広すぎるが、そのままとした。ホイールベースは問題ないが、そのまま組むとフロントの車高が異常に高い。キングピンの上を3mmほど切って落とし、ロアアームとスプリングもこれに合わせてカットした。リアの車高はキットのままでフロントに合わせて調節できた。6気筒エンジン、補器類などはしっかりしたもので、インテリアもサイドパネルが別パーツなので組みやすい」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.204より再構成のうえ転載

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