ボクらのヤングタイマー列伝:第48回『グループB詰め合わせ マニアック編』熱気と狂気の時代が生んだ”ちょっとマニアック”なラリーカーたち

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は2回前のラストで何となく予感していた方もいるとは思いますが、グループB詰め合わせの”マニアック編”、行っちゃいますヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第47回『フォルクスワーゲン・サンタナ』の記事はコチラから

前回はメジャーどころ+αを描きましたが、今回はマニアックなマシーンを取り上げます!

WRC(世界ラリー選手権)のカテゴリーとして1983年に本格スタートしたグループB(Gr.B)レギュレーション。連続する12ヵ月に200 台生産すれば参戦できたため、様々なモンスターマシーンが誕生しました。2号前(No.501)の当連載でお送りした『WRCグループB詰め合わせ』ではメジャーどころ+αを描きましたが、今回はマニアックなマシーンを取り上げてみたいと思います!

国産でも数車種がGr.Bのホモロゲを取得してWRC に参戦していますが、『マツダ・サバンナRX-7』もその1台でした。大仰なオーバーフェンダーやリアスポイラー、ノーマルのリトラクタブルライトの位置を無視したヘッドライトなどに凄みが伺えます。Gr.B仕様として7台が製造されましたが、実戦投入を行った1984年にGr.Bは既に4WDターボの時代を迎えており、FR車であるRX-7は厳しい戦いを強いられました。

またGr.Bカーは異形モデルが多いですが、その筆頭が『シトロエンBX 4TC』です。同門のプジョーが205T16 でフィールドを席巻していた頃、シトロエンはなんとサルーンであるBX をGr.B カーのベースに選定。ラリー仕様のヘッドライトは小さく、張り出したオーバーフェンダーに巨大なリアスポイラー、長いフロントオーバーハングというアンバランスな見た目は、まさに異形! エンジンはプジョー505 用のターボエンジンを縦置き搭載し、シトロエンSM用のトランスミッションを組み合わせています。数戦のみの参戦で、入賞は1986年スウェディッシュ・ラリーの6位のみという結果に終わりました。

さらにGr.Bカーの魅力には、勝つためのなりふりかまわぬハチャメチャな設計もありますが、それを象徴する1台が、『MGメトロ6R4』でしょう。ミニの後継だった小型車メトロをベースとしていますが、ボディ後半は鋼管スペースフレームで組まれた別物で、ミッドには3リッターV6DOHCを搭載。しかも駆動方式は4WDでした。空力付加物満載の外観が凄い! 地元デビュー戦の1985年RACラリーでは3位に食い込むなど、侮れないポテンシャルを見せています。

さて2回にわたり7台を描いてきたGr.B詰め合わせの最後は、このコーナーらしく”ナンダコレ!”なクルマをお送りしましょう。それが『ラーダ2105VFTS』です! 旧ソ連時代のラーダが開発したマシーンで、ベースは同社のベストセラーサルーン、2105。しかしオーバーフェンダーこそ勇ましいものの、化け物ばかりだったGr.Bの世界ではまったく歯が立ちませんでした(涙)。なおVFTSというレーシーっぽい名称がやたらカッコイイのですが単にこれ、”ビリニュス工場のクルマ”という意味しかないのが面白いところです。なんとまあ無機質な!(笑)

カー・マガジン503号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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