ボクらのヤングタイマー列伝:第46回『グループB詰め合わせ』熱気と狂気の時代が生んだ過激なラリーカーたち

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回はモータースポーツがいいなあと思いピンと来ました! はい、みんな大好きグループB詰め合わせで行っちゃいますヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第45回『ヤマハOX99-11』の記事はコチラから

中でもダイハツ・シャレード・デ・トマソ926Rは今でも参戦して欲しかった1台です!

レーシングマシーン顔負けの設計でも、連続する12ヵ月の間に200台生産すればWRC(世界ラリー選手権)に参戦できたグループB(Gr.B)。WRCのトップカテゴリーとしてレギュレーションが全面的に施行された1983 年のメイクスタイトルは、まずランチアが『037ラリー』で獲得しましたが、Gr.4とGr.Bが混走していた前年の1982年、既にアウディは高性能4WD車『クワトロ』を投入して優秀な成績を収めており、1983年もランチアと互角の戦いを展開しておりました。

ところが続く1984年、プジョーはMR+4WDという”見た目は205だけど中身はモンスター”な『205T16』で参戦を開始。037ラリーだけでなく、アウディ・クワトロでさえ勝つのが難しい状況を作り出したのです。

そんな中ライバルは手をこまねいていたわけではなく、ランチアは1985年末に205T16と同様にMR+4WDとした『デルタS4』を、アウディは1984年にショートホイールベース化して戦闘力を増した『スポーツクワトロ』、ついで1985年にはさらに大仰な空力付加物をまとった『スポーツクワトロS1』を投入していきます。しかし、デルタと言いつつまったくデルタの面影もないデルタS4も、ラリーカーとは思えない派手なスポイラーが目を引くスポーツクワトロS1も、205T16の牙城を崩すことはできませんでした。そして1986年…… ランチアのエース、ヘンリ・トイボネンが競技中に死亡。フォーミュラカーよりも速いと言われ、他にも数人のドライバーが亡くなっていたGr.Bカーは危険視され、その年で廃止となるのはご存知のとおりです。

そんな過激なカテゴリーのGr.Bですが、日産240RS、トヨタ・セリカ(TA64)、マツダ・サバンナRX-7などの日本車もホモロゲーションを獲得してWRCで戦っていたほか、参戦数が少ないもののれっきとしたGr.Bカーなクルマや、計画だけで終わったクルマもありました。中でも、今でも参戦して欲しかったと思うのが『ダイハツ・シャレード・デ・トマソ926R』です。Gr.Bカーのシャレード926ターボをベースに、205T16も真っ青なオーバーフェンダーを装着。直3ターボエンジンはDOHC化してミッドに搭載していました。1985年の東京モーターショーに展示され、市販やWRC参戦への期待も膨らみましたが、結局その夢は叶わずに終わります。

個人的にも思い入れが強いGr.Bカー。このほかにもシトロエンBX4TC、オースチン・メトロ6R4など、ハチャメチャなマシーンもあります。いつかこのコーナーで改めて、”マイナーGr.Bカー”として取り上げたい……です。

カー・マガジン501号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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