走る楽しさを第一に考えたサルーン
そして現代、である。ミニバンに加えてSUVが力強く台頭し、走りの面でも昔と較べたらどちらも驚くほどの進歩を遂げていて、セダンの存在意義はますます薄れたように感じられていたここ数年。普通に選ぶならミニバンもしくはSUVで、セダンを選ぶのはマニアックな行為なんじゃないか?なんて気すらしていたほどだ。
SUVが飛躍的な伸びを見せる一方でセダンが厳しくなったのは世界的な傾向で、中にはセダンをラインナップから外してしまったブランドもある。逆に“セダンとはどうあるべきか”ということに真剣に対峙して、飛躍的に出来映えのいい感動的なセダンを生み出すブランドも出てきている。そうしたクルマ達を走らせてみて強く感じるのは、迷いのなさ。どこか振り切ったような感じ。セダンがセダンとしての道を全うするには、セダンとしてのメリットを徹底的に突き詰めていくのが最大にして唯一の手段だとばかりに、不利な点を消そうと足掻いたり誤魔化すことに励んだりするのではなく、有利な点や持ち味をとことん伸ばすことを説得力にしようという思想を軸にして作られてる、といえるかも知れない。
アルファ・ロメオ・ジュリア辺りは、その代表選手だろう。アルファ・ロメオは159以来、久方ぶりにセダンを復活させるにあたって、ハンドリングに徹底的にこだわった。運動性能に徹底的にこだわった。そのため駆動は後輪もしくは後輪ベースの全輪へと切り替えた。シャシーも、パフォーマンスを優先してサスペンションを設計し、それに他の構成要素を加えていったような気配のある、このクルマのためにゼロから起こしたようなものだ。重量配分も、前後がきっちりと等分だ。12対1という常識を思い切り飛び越してクイックなステアリング・ギア比の採用なんて、“何のため?”とわざわざ訊ねる必要などないくらい明白だろう。
ジュリアは、だから素晴らしい勢いで、よく曲がる。ステアリング操作に対して嬉しくなるくらいにシャープに反応してくれる。そのシャープさを、サスペンションが綺麗に受けとめてくれる。“曲がる”という行為にまつわる一連は、フィールの面でも実際の動きの面でもピカイチといえるところにあって、それはまさしくスポーツカーのよう……というより、並みのスポーツカーを軽々と凌駕しているといっても何ら差し障りはないだろう。そのフットワークのよさが滅法効いていて、ただひたすら楽しいばかり、気持ちいいばかり。後席がやや狭かったりトランク開口部が小さかったりもして、極端といえば極端ではあるのだけれど、まるで“俺達の考えるセダンっていうのはこうなんだ。楽しさが第一、だろう?”という主張が乗り味から伝わってきて、その潔さに嬉しくなったりもする。今いちばん欲しいセダンの名前をあげろといわれたら、僕は間違いなくジュリアと応える。血が騒ぐ。
──今回は3台のみの御紹介だったけど、時代ごとに、タイプごとに、魅力的なセダンは数多ある。セダンを転がすのが“粋”である時代に、着実に戻りつつある。あなたは、どうする?
【SPECIFICATION】ディムラー4.2ソブリン
■全長×全幅×全高:4812×1762×1440mm
■ホイールベース:2765mm
■トレッド(F/R):1473/1481mm
■車両重量:1600kg
■エンジン:直列6気筒DOHC
■総排気量:4235cc
■最高出力:170PS/4500rpm
■最大トルク:31.9kg-m/3500rpm
■サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/ウイッシュボーン
■タイヤ(F&R):205/70R15
【SPECIFICATION】シトロエンC6 3.0HDi 240FAP Exclusive
■全長×全幅×全高:4900×1860×1460mm
■ホイールベース:2900mm
■トレッド(F/R):1580/1550mm
■車両重量:1948kg
■エンジン:V型6気筒DOHCターボ
■総排気量:2992cc
■最高出力:240PS/3800rpm
■最大トルク:45.9kg-m/1600-3600rpm
■サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
■タイヤ(F&R):245/45R18
【SPECIFICATION】アルファ・ロメオ・ジュリアQ4 VELOCE(左ハンドル)
■全長×全幅×全高:4655×1865×1435mm
■ホイールベース:2820mm
■トレッド(F/R):1555/1625mm
■車両重量:1630kg
■エンジン:直列4気筒マルチエア・ターボ
■総排気量:1995cc
■最高出力:280PS/5250rpm
■最大トルク:40.8kg-m/2250rpm
■サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
■タイヤ(F&R):225/45R18
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