前例のないアウディのEVレーシングカーが、ラスベガスを駆けた!
「アウディ S1フーニトロン (Audi S1 e-tron quattro Hoonitron)」が登場するアメリカのモータースポーツ選手、ケン・ ブロックの新作ビデオ「エレクトリカーナ (Electrikhana)」が公開され、わずか3週間で450万回以上の再生回数を記録、S1フーニトロンの走りに感銘を受けた多くの人々からコメントが寄せられているという。
S1フーニトロンのデザインは、伝説的なラリーマシンである「アウディ スポーツ クワトロS1 (Audi Sport quattro S1)」をモデルにしているが、技術的には市販モデルおよびモータースポーツ用の電動駆動システムが搭載されている。
【写真16枚】S1フーニトロンのテクノロジーとスペックを公開
開発チームは、プロジェクトの発足から8か月以内にアウディ S1フーニトロンの最初のテスト走行を行い、ケン・ブロックと彼のチームのために撮影準備を整える必要があった。そのためこのプロジェクトは、ドイツ南部の都市・ネッカーズルムのアウディ スポーツチームとアウディ デザインチームにとって、非常にやりがいのある仕事となり、その結果は想像以上のものだった。
3週間前にエレクトリカーナが公開されて以来、何百万人もの人々が、ラスベガスの市街地、カジノ、駐車場で、ケン・ブロックがS1フーニトロンを思いのままにドリフト走行させる映像に魅了された。
非常にバランスの取れた重量配分と寸法
・前後重量配分は52:48とほぼイコール。
・ホイールベースは2.4m未満で、アウディのエントリーモデル「アウディ A1 スポーツバック」の2,563mmよりも大幅に短くなっている。これにより、コーナリング時の俊敏性が向上。この短いホイールベースは、ヨーイング(垂直軸を中心とした回転運動)に有利に働き、Electrikhanaでのドリフトシーンに最適だ。
・フロントおよびリヤアクスルにマクファーソンストラットを採用し、スプリングストロークが200mm以上のサスペンションを組み合わせることにより、ジャンプシーンを含む過酷な走行に対応できるようになっている。
・この基本コンセプトにより、「アウディ S1 e-tron クワトロ フーニトロン」は、さまざまな状況におけるドリフトおよびスタント走行に理想的なキャラクターを備えている。
電動駆動システム:MGUユニットを2基搭載
・電気自動車アウディ S1 e-tron クワトロ フーニトロンは、電動4輪駆動システムを搭載。フロントおよびリヤアクスルは、それぞれモータースポーツから技術的なフィードバックを受けたモータージェネレーターユニット(MGU)によって駆動される。
・これら2つのユニットの1基あたりの重量は、トランスミッションを含めてわずか55kg。
・アウディの市販PHEV用の高電圧バッテリーが4台搭載され、駆動システムに電力を供給。各バッテリーの容量は14.4kWh、合計容量は57.6kWh、作動電圧は800V。
完璧なパフォーマンス:十分なトルクとパワー
・フロントおよびリヤアクスル間のパワーは、完全に可変配分。それにより、ドライバーのニーズを完璧に満たし、非常にニュートラルなステアリング特性を実現。
・各MGUは250kWの最高出力と320Nmの最大トルクを発生。その結果合計出力は500kW、合計トルクは640Nm。
・電気モーターの最高回転数は28,000rpmで、エンジニアリングチームはドリフト走行用に、約12:1のギア比を設定。これにより、パワー損失を考慮しても前後アクスルに伝達されるパワーは合計で約3,000Nm、トルクは6,000Nmとなる。
・この強大なトルクにより、ケン・ブロックによる素晴らしドリフト走行が可能になり、最高速度は200km/h以上に達する。
・上記の機能を組み合わせ、特別な目的を持って製作されたこのマシンは、アウディの長いモータースポーツ史の中でも極めてユニークな存在となっている。
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