ところどころに手を加えながら15年。アーチ鋼板やモルタルなど素材をむき出しにした無骨なスタイルのガレージハウス
アーチ型の構造板を使って作られるアメリカ生まれの「アーチビルディング」は、アメリカ軍の格納庫などとしても採用される建造物だ。施主であるKさんが、そのアーチビルディングに魅せられ、同工法を用いてガレージハウスを建てたのは15年前のこと。住まいもガレージも改良を続けながら、現在も素敵なガレージライフを送っている。
他に類を見ない独特なスタイルを持つガレージハウスに魅力を感じる
アーチビルディングという工法をご存知だろうか。『GarageLife』ではこれまでにも幾度となく実例の紹介をしてきているアメリカ生まれの建築構造物であり、アーチ状の薄い鋼板を用いて作られるこの工法は、アメリカ軍の格納庫などにも採用されているものだ。
見るからに特殊なアーチビルディングは、アメリカンスタイルのガレージに用いられることもしばしばあるのだが、ここで紹介するKさんの場合は、ガレージだけでなく”住まい”としても使ってガレージハウスとしている例は稀だ。
竣工は2004年だというので、かれこれ15年以上生活をしていることになる。そんなKさんのガレージハウスを拝見しつつ、実際に長い期間生活し、どのような使い勝手なのかを伺ってみることにした。
「この家を建てる前は、隣町のマンションに住んでいました。部屋から1階の車庫までコードリールなどを引いてクルマのメンテナンスを行っていたこともあり、ガレージがほしかったのです。そこでまずは、中古店舗物件や空き倉庫などを探すことから始めたのです。私は建築業ですので、倉庫の中に家を建ててしまおうくらい考えていました」と話すKさん。
アーチ、鉄骨、モルタルなど素材感を存分に活かしたインテリアづくり
その頃雑誌で見つけたのが、アメリカンシェルタースタイルのアーチビルディングだった。アーチキットを取り扱う岐阜の「ワンダービルディング」に問い合わせて素材を購入し、自分の手で作り上げた。むき出しのアーチパネルは硬質的な表情を持ち、とてもスタイリッシュなのだが、夏は暑くて冬は寒かった。そこで居住空間側にはウレタンを吹き付けて、白くペイントを施した。
ガレージと居住空間は分けられてはいるものの、当初は”部屋”というものが無かったのだが、やはりプライベートなスペースも必要だと考え、住み始めから3年程経ったころ、ガレージの上にロフト部屋を設けた。さらについ先日、今年高校へと進学した娘さんのために部屋を分けたそうだ。このようにKさん家族とアーチガレージハウスは成長をしてきたのだ。
ガレージ内を拝見してみよう。ガレージを持つ前から所有してきた、1965年式マスタングは現在も快調。もう一台クルマが入るほど余裕を持ったスペースが確保されているが、そこにはバイクやドラムセットなどが置かれ、テーブルセットが置かれたリビングスペースが設けられるなど、悠々とした空間造りがなされている。
「ガレージハウスは全体的にところどころに手を加えてきましたが、元々アーチ鋼板や鉄骨、モルタルなど素材をむき出しにした無骨なスタイルが好きなのです。家族には我慢してもらっている部分もあるかもしれませんが、理解していると思います。
一方でこのアーチガレージハウスには満足していますが、ゆくゆくは別棟ガレージも持ちたいと考えています」とKさんは話す。
ガレージは建ててからがスタートだとよくいうが、Kさんのガレージライフもまだまだ続いてゆくのである。
◆Planning Data
施 主:Kさん
家 族:ご夫婦、長女
所在地:愛知県
竣 工:2004年8月
ガレージ部面積:各約51平米
構 造:鉄骨造
外装仕上げ:アーチ構造材、ガルバリウム鋼板
内装仕上げ:アーチ構造材、OSB合板
愛 車:1965年式 フォード・マスタング
施 工:株式会社立建 愛知県名古屋市守山区八剣2-1509
Phone 052-798-1125 http://www.rikken-co.com/
◆Owner’s check
・我が家のここがお気に入り
広々とした空間造りができていることと、アーチビルディングを活かした独特な雰囲気を楽しめるところ。
・ちょっと失敗
ガレージスペースからの音漏れに関しては、改善の余地があります。
・これらからの夢
一台しっかりとレストアしたいです。
・読者へのアドバイス
色々な制約があると思いますが、ガレージは広ければ広いほど良いです。それとアーチビルディングに関して言えば、そのまま使うのは決して住みやすいとは言えないので、上手く付き合っていけることと、家族の理解が大切です。
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