羊の皮を被った狼はあえてノーマルで組む!レベル製プラモ「1990年型マスタングLX5.0L」【モデルカーズ】

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GTと同じ走りをスムースな外観で

スペシャリティカーというジャンルの立役者であるフォード・マスタング。そのセールスポイントのひとつはボディの小ささであったはずが年々肥大化していき、ファンの落胆を招くようになっていった。原点回帰とばかりに1974年型で登場した二代目モデルのマスタングⅡは大幅にサイズダウン、むしろ初代より小さくなったのである。そして1979年型で、早くも三代目にバトンタッチしたのであった。

【画像15枚】通好みなFOXマスタングを細部まで見る!

この三代目マスタングは、当時のフォードがフェアモントなどで使用していたFOXプラットフォームを用いて開発されており、ボディサイズは初代とほぼ同じ(全長は初代181.6インチに対し179インチ)、スタイリングは初代/二代目のイメージとは大きく異なるものの、空力を重視した欧州調のものであった。ボディ形状はノッチバックとファストバック(ハッチバック)の二種類のクーペ(フォードではそれぞれを2ドア、3ドアと呼んだ)が存在。なお、ホイールベースは100.5インチ(2553mm)である。

機構面ではレイアウトはFR、サスペンションは前ストラット/後ろ4リンク、エンジンは直4(ターボもあり)からV6、V8までを取り揃えていたが、長くなるのでそこまでの記述に留めておこう。バリエーションでは、豪華版のギアは継承されたが、イメージリーダーのマッハ1はなくなり、代わりにコブラというモデルが登場している。

1981年型ではTバールーフを、1983年型ではコンバーチブルを加わえたのち、1987年型でボディ外観および内装を大きく変更。そのフロントマスクは、従来よりもスラント角度を抑えながら凹凸を少なくしたもので、トーラスなど当時のフォード車のトレンドに則ったものと言えるが、1984年から加わったハイパフォーマンスモデル、SVOの専用デザインを活かしたものでもある。なお、1986年型の時点で2ドアの呼称は2ドア・セダン、3ドアの呼び名は2ドア・ハッチバックへと、それぞれ改められていた。

話を1987年型に戻すと、グレードはふたつに整理され、直4を積むベーシックなLXと、V8を積むスポーツ志向のGTという構成を採ったが、LXにもオプションでV8を搭載することは可能だった。1989年型で、V8搭載のLXは正規グレードに昇格となり、LX5.0Lを名乗った。なお、このV8エンジンは排気量302-cid(5L)、最高出力は225hpである。

LX5.0Lは、GTと同じパフォーマンスを、エアロパーツなどのない控えめなルックスとともに味わえるのが売りあり、3種類のボディすべてに設定されていた。三代目マスタングはこのあと1992年型まで続いたが、LX5.0Lは脱落することなく最後までラインナップされた。

ホイールは2種類付属して…いない!
さて、この三代目マスタング後期型のプラモデル化には、AMTの1/25やモノグラムの1/24があったが、いずれもハッチバックであった。その状況を変化させたのが、ここで採り上げているレベル製1/25スケールの1990年型マスタングLX5.0Lである。このキットは2013年に発売されたものだが、ここでご覧いただいている作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の234号(2015年)に掲載された作品だ。以下、作者・周東氏による解説をお読みいただこう。

「1990年式のマスタングは、2013年にレベル社よりリリースされたものがある。このキットはポリスカー仕様も作れる2 in 1で、細かく出来たエンジンなど、フルディテールといえる構成となっている。ボディは最初の印象では若干厚みが足らないような感じがしたが、組み上げてみて実車カタログの側面写真と見比べてみたところ、ほぼ正解のようだ。ただ、リアバンパーが若干出すぎている感じがする。

ボディ自体は肉厚もあるがヒケはなく、パーティングラインもさほどひどくないので下処理はラクだ。ただ、左後部のモールのラインが少しずれているので、ここは修正が必要。ボンネットのチリは今回はキットのままとしたが、特に手を加えなくてもよいようだ。ファイアウォールの両端にボンネットヒンジ用の切り欠きがあるが、この孔からインテリアフロアが見えてしまうので、ヒンジのパーツを使わない場合この切り欠きはプラ板等で塞いでおいた方がよいだろう。

ウィンドウ関係は珍しく外付けとなっている。合いは問題ないのだが、接着には塗料を侵さないもの(クリアボンドなど)を使うなど、配慮が必要だ。エンジン関係のパーツは一部合いがよくないところもあるので、面倒がらずに作業しよう。また、押しピン跡が接着面にあったりするので、これもあわせて処理しておこう。

インテリアはメリハリの効いた良い出来だ。組み立てに特に難しいところはないが、フロントシートの合わせ目に隙間が若干できるので、パテなどを用いて整形しておく。インパネに付けるゲージパネルは収まりが悪いので調整が必要だ。

シャシー、足周りは細かく出来ていて実感がある。組み立ても説明書の手順通りに組めば特に難しい所はない。細いパーツもあるので、破損しないように取り扱いには注意が必要だ。ホイールは説明書を見ると二種類のものが記載されているが、キットには一種類しか入っていない。これはたぶん説明書のミスだろう」

作例制作=周東光広/フォト=服部佳洋 modelcars vol.234より再構成のうえ転載

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