大スケールの迫力とともにシェルビー・マスタングの本気度を実感!レベル製プラモ「2010年型シェルビーGT500」【モデルカーズ】

全ての画像を見る

GT500はSVTとシェルビーのコラボ

近年では映画『フォードvsフェラーリ』で重要な登場人物として採り上げられたこともあり、一般的な知名度も増したキャロル・シェルビー。彼とフォードのコラボレーションは1960年代で終わりを告げ、1980年代にはダッジのチューニングを手掛けるなどしていた。そんなキャロル・シェルビーがフォードとの協働を久方ぶりに復活させたのが、五代目マスタングをベースとしたシェルビー・マスタングである。

【画像23枚】緻密さよりも大きさで魅せるGT500を細部まで確認!

それについて述べる前に、1960年代のシェルビー・マスタングについて簡単に説明しておこう。コンパクトカーとして1960年型で登場したファルコンのシャシーを利用し、1964年春に発売されたスタイリッシュなスペシャリティカーが、フォード・マスタングであった。マスタングのコンセプトで重要な部分は、本気のスポーツカーではないがそれ風の装いである、ということだったのだが、イメージ・アップを目的に、フォードはマスタングのレース投入を早々に決意。

このためSCCAのホモロゲーションに合致させ生産されたのが、シェルビーGT-350であった。1965年型で登場したシェルビーGT-350は、開発から製造・販売までを、キャロル・シェルビー率いるシェルビー・アメリカンに委託。マスタングに元々オプション設定されていた289-cid(4.7L)のV8を搭載しつつも、通常のマスタングとは全く別物のスパルタンなモデルとなったのである。

しかしあまりにハードなその仕上がりに、高価なトップモデルという認識で購入したオーナーからは、苦情の声が少なくなかった。そのため、シェルビー・マスタングは翌年からラグジュアリー度を向上させていくこととなる。1967年型からは428-cid(7L)を搭載したGT-500も新たに登場。さらにコンバーチブルまでも加わるのだが、シェルビー・マスタングという企画は1969年型で終了することとなる。

時は流れて21世紀となり、前述のようにこの協働が復活して、シェルビー・マスタング復活とあいなった。このときのマスタングは2005年型としてデビューした五代目モデルで、先代以上に初代のイメージの現代版化という方向性を持っており、シェルビー・マスタングのリバイバルも、そうした流れに沿ったものと言えるだろう。その開発にあたってはキャロル・シェルビーの意見が随所に反映されたと言われている。

新生シェルビー・マスタングの登場は2007年型でのことで、281-cid(4.6L)エンジンを積むシェルビーGTと、330-cid(5.4L)を搭載するシェルビーGT500の2種類に大別される。後者は、フォードのハイパフォーマンスカー開発部隊であるSVT(Special Vehicle Team。のちにフォード・パフォーマンスへと統合された)がその設計を手掛けている。

ここでの本題である2010年型では、ベースとなるマスタングとともに大きめのマイナーチェンジを実施、特にフロント周りでは、大きく配置されていたバンパーウィンカーがサイドのみの小さなものとなり、ヘッドライトがプロジェクターランプに変わってライトカバーが付くなどして、表情が一変している。もちろんエアダム一体型のバンパーなども形状を変更したほか、フード上のスクープも位置や形状が改められた。

エンジンの最高出力はそれまでの500hpから540hpへとアップ。このエンジンは昔ながらのアメリカンらしくV8であるが、OHVではなくDOHCで、インタークーラー付きスーパーチャージャーも備えたものである。マイナーチェンジに伴う改良ポイントは、シェルビーによる新たな冷気導入システムの採用であり、40hpのパワーアップもその賜物であった。このユニットにツインディスククラッチと6速ミッションが組み合わせられており、もちろんサスペンションやブレーキにもSVTによるチューニングが加えられている。

ボディの歪みには注意!
さて、この2010年型シェルビーGT500を1/12スケールでプラモデル化したのは、老舗メーカーのレベルである。1/25スケールでも同車をキット化しているレベルだが、やはり大スケールならではの迫力は魅力的だ。2011年にリリースされ現在は絶版、また通常のマスタングや異なる年式などのバリエーション展開などもされなかった。

ここでご覧いただいている作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の190号(2012年)に掲載されたものだ。以下、その時の作者(畔蒜氏)による解説をお読みいただこう。

「久々の1/12スケール、さすがに大きい。寸法的には、いつも手にしている1/24や1/25の倍の大きさである。ただしパーツ構成は1/25とほぼ同じ、ボディはワンピースで前後のバンパーまで一体成型である。エンジンや足周りなど、もう少し細かくパーツ分割した方が、リアルで組みやすくなる部分が少なくない。

とはいえパーツ精度は良く、そのまま塗装して組み立てるだけでちゃんとカタチになってくれる。パーツ同士のフィット感などは中々良い。この辺は、大型完成モデルに慣れたチャイニーズメイドのなせる技だろう。

難を言えば、最終的なボディとシャシーの固定が曖昧だ。1/8クラスになるとしっかりしたビスで固定する方法が採られていたはずだが、1/25と同じパーツ構成ゆえ、シャシーにボディを被せるだけという手法のままである。結局、サイドシルの内側のボディとシャシーが接する所に瞬間接着剤を流し込んで固定した。

なお、ボディはフロントのホイールアーチから先の部分がやや上を向いていた。この個体だけかもしれないが、成型後の事後変形の可能性もある。これはボディにインテリアとシャシーを仮組みして、フロントのアンダーパネルをセットしてみるとすぐに分かるから、事前にチェックしておくことをお薦めする。

もし上を向いているようなら、塗装の前に修正しておこう。フロントのホイールアーチの上の部分を、割れないように注意して、手で少しずつ曲げていく。熱処理は急な変形があるので避けた方が良いだろう。

やはり日本人の性で、細かく手を入れたくなることだろう。キットの精度は悪くないので比較的楽に進められる。細かいデカールはありがたいが、組立説明書では細部の塗り分けが不足しているので、実車を参考に色を注すだけでもリアル感は増す」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.190より再構成のうえ転載

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!