ベントレー・BENTAYGA HYBRID:PHEVは、充電設備があれば理想の選択である。
素質としての高い静粛性がEV走行時に際立ってくる
ベントレーといえば、プレミアム系を超えるラグジュアリー系ブランドの名門だ。また、’30年までに全モデルをEVにするという電動化戦略も発表済みだ。その戦略は、すでに動き始めている。SUVのベンテイガは、3LのV型6気筒ターボとモーターを組み合わせ外部電源による充電が可能なベントレー初のPHEVを追加。まさに、今回試乗したベンテイガハイブリッドがラインナップの最新モデルだ。フル充電なら、欧州基準のNECdモードで約50kmのEV走行が可能。そもそも、走行モードはEVドライブがデフォルトになる。
それだけに、見事なまでの静粛性が実現されている。ベントレーは、ベンテイガに限らずエンジン車でも静粛性が高い。たとえば、トンネル内ではタイヤが発するロードノイズやパターンノイズがボディを通じてではなく外部に放射されつつ反射し聞こえてくるもの。だが、ベンテイガにはそれがなくEVの特徴が最大限に発揮されるのだ。バッテリーの充電量が減ってくると走行モードはハイブリッドになるが、発進時はEVとしての機能が維持される。モニター上の充電量がゼロレベルでもハイブリッドとしての役割が保たれることは、他の多くのPHEVと同様だ。
【写真27枚】2030年までに全モデルをEVにするという、ベントレーの電動化戦略車
しかも、発進後に30km/hあたりでエンジンが始動するもののタコメーターを見たから気づくだけ。静粛性が高いだけに、エンジン音は耳に届かない。当然、エンジンの始動を意識させる振動とも無縁でいられる。さらに、バッテリーの充電量が確保されていればアクセルを踏み込むとモーターがエンジンをアシストするブースターとして機能する。システム出力は449psに達し、4LのV型8気筒ツインターボを積むモデルが発揮する550psには及ばないが刺激的な速さを楽しめる。
エンジンそのものは、同じPHEVでもハイエンドサルーンのフライングスパーが積む2.9LのV型6気筒ツインターボとは異なるがフル加速すれば6,000rpmオーバーまで一気に吹け上がる。そんな場面でも、通常は滑らかに動くサスペンションがフラットな姿勢を維持する。直進時には、ステアリングが中立で自然に落ち着き安定性の高さが確かめられることも好印象だ。
EVとエンジン車の機能を兼ね備えるPHEVは、家庭や保管場所に充電設備があれば理想の選択といえる。EVほどバッテリー容量が大きくないだけに、ベンテイガの場合は200Vの普通充電で2時間半ほどで0〜100%に達する。市場の評価も高く、2021年の販売では5台に1台がハイブリッドだったという。
◆BENTLEY BENTAYGA HYBRID SPECIFICATION
■全長×全幅×全高=5,125×2,010×1,710mm
■ホイールベース=2,995mm
■車両重量=2,648kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ターボ+モーター/2,995cc
■最高出力=449ps(330kW)/-rpm
■最大トルク=700Nm(71.4kg-m)/-rpm
■モーター最高出力=128ps(94kW)/-rpm
■モーター最大トルク=350Nm(35.7kg-m)/-rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=285/45R21:285/45R21
■車両本体価格(税込)=22,800,000円
■問い合わせ先=ベントレーモーターズジャパン 0120-97-7797
ANOTHER CHOICE:素質が高い直列6気筒エンジンを搭載「ランドローバー・レンジローバーPHEV」
ランドローバーも電動化戦略を積極的に展開中だ。PHEVはイヴォークとディスカバリーに加え超フラッシュサーフェスなデザインの5代目となる新型レンジローバーにも投入。エンジンは自社開発となる3Lの直列6気筒ターボを搭載。モーターとの組み合わせによりシステム出力は440ps仕様と510ps仕様が用意される。