シボレーやGMCとしても販売された5代目エルフ
登場から60年以上の歴史の大半で、小型トラック国内シェアNo.1を獲得し続けてきた、いすゞエルフ。2022年8月現在の同社ホームページでは、2001年からの実績として「21年連続日本一」と掲げられている。これは2‐3トン・クラスでのカウントで、1トン・クラスのNo.1はトヨタということのようだが、ともあれ、キャブオーバー型で小さめのトラックとなれば、その代表的な車種はエルフである、ということに変わりはないだろう。
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初代エルフは1959年に登場した。いすゞとしては初めての小型かつキャブオーバー・スタイルのトラックであったが、同様の車種としてはすでにトヨタ・ダイナや日産キャブオールが存在。当時はトラックにおいてもまだまだガソリン車が多かったが、エルフはデビュー翌年の1960年からディーゼル車(2L)を設定し、その経済性と耐久性、信頼性で高い評価を得た。1964年にはロングホイールベース車を追加、翌年にはマイナーチェンジでヘッドライトを丸4灯としている。
1968年には2代目へとモデルチェンジ、逆開きだったドアがようやく前ヒンジになり居住性も向上、ディーゼルエンジンは2.2Lとなり商品力をアップした。この2代目エルフでは、FF機構を採用することでボデー架装の自由度を増したエルフ・マイパックの登場(1972年)も印象深い。販売的には決して成功したモデルではなかったが、トミカなどのミニカーでその姿を記憶に深く刻んだ方は少なくないだろう。なお、車体サイズや形状によっては、世代交代は遅れて行われているので、その点はここに注記しておく。
3代目へと進化したのは1975年のこと。2代目後期型の埋め込みバンパー・スタイルを継承したデザインはいかにも1970年代的なものだが、結果的に1984年まで続く長生きな世代となった。CMキャラクターの印象深さから「寅さんエルフ」の通称で親しまれたのも、この3代目である。1984年には4代目へモデルチェンジ、直線的なルックスで一気に現代化を図ったが、イメージカラーも長く続いたブルーからホワイトへ変更、フレッシュなイメージを強調した。切りがないのでここで話を飛ばすと、現行のエルフは6代目ということになる。
エルフの輸出は初代から行われていたとのことだが、北米市場への投入は4代目モデルが最初のようだ。いすゞは長らくGMグループに属していただけに(資本関係は2006年に終了)、シボレーおよびGMCブランドでの販売が行われたが、いすゞNシリーズとしても市場進出を果たしている。5代目エルフへのモデルチェンジは1993年に行われているが、北米でのNシリーズが新型に切り替わったのは1995年途中からのようだ。北米仕様のトラックに興味のある人にはNPRの車名で広く知られているものの、2番目の文字は重量、3番目の文字は駆動輪を示し、いくつかの種類があるようである。
シャシー延長、ボディも自作!
そんないすゞエルフは、その身近さと、商用車としての力強さから、ミニカーの世界では歴代全てが人気モデルと言えるが、プラモデルとしてはそうでもないようだ。きちんとしたスケールモデルとしては、アオシマ製1/32スケールの、5代目エルフが唯一のもののようである。「きちんとした」とは言ったものの、アオシマ製トラックモデルがリアリティ徹底重視に舵を切る以前のキットであり、三菱キャンターとシャシーやインテリアのパーツを共用している。つまり、キャビン形状以外は実車を忠実に再現したものではない。
ここでお目にかけているのは、そのアオシマ製エルフをベースに、アメリカ仕様のいすゞNPRへと改造した作品だ。キャビン周りに手を加えているだけでなく、ボデーもMORGAN TRUCK BODY社のドライバンを再現。作者はハリウッド映画のわき役として登場するNPR(カーチェイスや銃撃戦の巻き添えで破壊されてしまうような)を思い浮かべて制作したとのことだが、その甲斐あってか、実に北米の匂いがムンムンする作品に仕上がっている。制作過程の詳細については、工程写真のキャプションをご参照頂きたい。
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