最高687馬力、最大トルク1000Nmの圧倒的動力性能! メルセデスAMGの新型EV「EQE 53 4MATIC+」はハイパフォーマンスサルーンだった

EQE専用のソフトウェアを採用

AMGのEQEにはこの他に43 4MATICも存在する。EQSは53のみだから43は初披露なのだけれど、今回の試乗車は53のみだった。EQEの53のパワートレインは同じ53のEQSと基本的に同じである。ソフトウェアのみをEQE専用とし、パワースペックをAMG EQSの761ps/1020Nmから687ps/1000Nm(いずれもオプションのAMGダイナミックパッケージ装着時)に少し絞っている。EQEのほうがボディサイズが小さく車両重量も軽いしバッテリー容量も小さいから、妥当な設定だろう。

ただし、この数値には註釈が必要だ。AMG EQEではAMGダイナミックセレクトのモードによってアウトプットを変えているという。”スリッパリー”では50%、”コンフォート”では80%、”スポーツ”では90%の出力とトルクしか発生しておらず、”スポーツ+”でようやく100%、そしてAMGダイナミックパッケージ装着車のみに設定される“レーススタート”ではブースト機能が働き瞬間的に110%となる。前述のパワースペックはこの時の数値なのだ。ちなみにスポーツ+で実質的に発生するのは626ps/950Nmだから、これでも公道では余りあるパワーである。半分のスリッパリーでも300ps/450Nmは出ているわけで、法定速度内でモードによるパワーの差を計ることは難しい。スロットルレスポンスの違いと、人工的に作られた妙な音の変化が感じられる程度である。いずれのモードでも、必要十分以上の力強い動力性能があるのは確かだ。

エアサスペンションと後輪操舵というシャシー構成もAMG EQSとまったく同じである。しかるに、操縦性も似たり寄ったりだ。ひたすらスタビリティが高くボディサイズの割によく曲がる。速度や路面の依存度が低く、常に一定の快適な乗り心地を提供するマナーもまたしかりである。

航続距離は462-533km(WLTP)と公表されているが、モードや走り方に大きく左右されそうだ。

AMG EQEはAMG EQSと比べても劇的に変わるところはなかった。ボディ形状は違うし(EQEは3ボックス、EQSは2ボックス)、ホイールベースも車重も異なるのだから、本来なら乗り味にそれぞれのキャラクターが表現されていてもおかしくない。あえて似せたのかどうかはよく分からないけれど、「同じプラットフォームでバッテリーを床下に積んだモーター駆動のBEV」で明解な差別化を図るのは、限界があるのかもしれないとも思った。

【SPECIFICATION】メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+
■全長/全幅/全高=4964/1906/1492mm
■ホイールベース=3120mm
■トレッド(前/後)=1648/1648mm
■車両重量=2525kg
■バッテリー種類=リチウムイオン
■バッテリー容量=90.6kWh
■モーター種類=永久磁石シンクロナスモーター(PSM)
■モーター最高出力=626-687ps(460-505kW)
■モーター最大トルク=950-1000Nm(96.9-102kg-m)
■最大航続距離(WLTC)=444-518km
■トランスミッショッン形式=1速
■サスペンション形式=前4リンク/エア、後マルチリンク/エア
■ブレーキ(前/後)=Vディスク/Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前265/40R20(9.5J)、後295/35R20(10.5J)
■問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 ☎0120-190-610

メルセデスベンツ公式サイト

フォト=メルセデス・ベンツ日本 ルボラン2022年9月号より転載

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