翼を広げた大衆向けセダン
1959年型シボレーは、1957年型クライスラー系各車(プリマスやダッジ)の変革がもたらしたショックから、従来より一段と低くワイドなボディに生まれ変わり、ホイールベースも117.5インチから、それまでで最大の119インチにまで拡大。フロントの2段構えのグリルもインパクトは大きいが、鳥か蝙蝠の翼のように横に広がったテールフィンが、圧倒的な存在感を示していた。
【画像12点】フィフティーズのリアルな姿に挑んだインパラ・セダン、その画像を見る!
グレードはさらに整理され、デルレイが抜けてビスケインが最下位になり、インパラはラインナップ全体の上級モデルとして、2ドア車だけでなく4ドア、ワゴンにも用意された。4ドア・ハードトップ、いわゆるスポーツセダンは、”フラットトップ”と呼ばれる平らなルーフと広いリアウィンドウが特徴の形となり、翌年登場のコルベアのキャビン形状を先取りしたものと見ることもできよう。メッキモールの多さや、シートパターンのデザインの違いなどを除くと、ベルエアと比較しての装備面でのアドバンテージは、スライド式のサンバイザーや電計時計くらいであったようだ。
1959年型のシボレー・インパラは、当時のアニュアル・キットであるAMT 1/25のほか、モノグラム(/レベル)の1/25、グンゼ(現GSIクレオス)の1/32などがある。ここでお目にかけているのは、1959年型インパラの4ドア・セダンを1/25スケールで再現した作品だが、直接的にはAMTもモノグラムもベースには使用していない。オールアメリカン・モデルスのレジンキットであるビスケイン2ドア・セダンから改造したものである。
しかし元々このレジンキットはモノグラムをベースにしたもので、組み立ての際にもモノグラムのパーツを組み合わせて作るように設計されている。作例もそれに従い、かつモノグラムのパーツを利用してインパラ化を行った。特に便利だったのは、モノグラムのインパラではサイドモールがボディとは別体のメッキパーツとなっていること。これ幸いとレジン製ボディの側面に溝を掘り、このパーツを埋め込んだのだが、溝を少し広く掘りすぎたので、その修正にかなり手間取った。
もちろんこれはモールのメッキを剥離した上での作業で、スジボリを埋めて修正のうえ、ボディともども4ドア・セダンのドアラインを彫り直している。ドアサッシ/窓枠はプラ棒で新設。ルーフはもう少し中央が高い方が正確ではないかと思うが、その修正は見送った。リアウィンドウ上のルーバー上の飾りも、サイドモール同様に溝を掘って取り付けている。
ベルエアの4ドア・セダンとしては、おそらく直6を搭載したモデルがよく売れたのではないかということで(資料を探せば正確なところは分かると思うが、これはあくまで推測)、作例は6気筒エンジン車として仕上げている。エンジンフードからはV8搭載車の印であるV字のアクセントを取り除き、エキゾーストも左側のみの1本出しとした。トランク中央のメッキモールはビスケインにはないものなので、スジボリを追加してメッキ表現を行っている。
シャシーは仮組みしたところ車高がずいぶん低かったので(スポーツクーペとしては自然なのであろう)、前後ともサスペンションの取り付けにスペーサーをかませて3mm高くしている。内装は、モノグラムのフロアからリアシートを切除し、フロアのみをシャシーに接着。同じくレジンキットのフロアから切り取ったリアシートを、位置を調整しつつシャシーへ取り付け、フロアとの隙間はパテで埋めた。前席もレジンパーツを使用、リアシートと併せてプラ材で拡幅している。
これだけではインパラにならないので、フレキシブルワイヤーとプラ棒を貼り込んで、インパラ用シートのパイピングと銀モールを再現した。クロス部分の模様には、モノグラムのキットに付属していた赤内装用ステッカーを利用、つなげたものをカラーコピーして貼り付けている。経年による劣化で色が茶色っぽくなっていたのが却って幸いした。ドア内張りもしっかりと再現したいところだったが、時間的な問題からこれは思い切って省略し、ただの平面のままにしている。
ボディカラーはカラーコード920-Aの「Gothic Gold」を選択。Mr.カラーのC10カッパーを基本に、C9ゴールド、C119 RLM79サンドイエロー、C63ピンク、C316ホワイトFS17875、C49クリアーオレンジなどをあれこれ混ぜて、なんとか出来上がった色だが、非常にムラの出やすいカラーになってしまった。メッキモールには、制作当時出たばかりのミラーフィニッシュを使ったが、凹モールドに馴染みにくく難儀した。トランクフードのエンブレムやナンバーポケットのモールディングなどには、モデルカーガレージのエッチングを使用している。
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