熟成を重ねたA110
アルピーヌA110は一部改良が施され、A110、A110GT、A110Sの3つのグレード展開となった。これまでのA110ピュアがA110に、A110リネージがA110GTに、そしてA110Sはそのままということである。しかし、エンジンやサスペンションのチューニングは改められている。
エンジン自体はこれまで通りのルノー製1.8Lターボで、A110はパワースペックにも変更はない(252ps/320Nm)。いっぽうA110GTとA110Sはいずれも300ps/340Nmにパワーアップされている。これはターボのブースト圧を上げてエンジン制御プログラムを刷新したことによるもので、ハードウェアの変更は基本的にないそうである。
これまでよりも出力・トルクが向上した300ps/340Nmを発生するハイパワーエンジンに専用チューニングを施したシャシースポールを採用。正確で素早いステアリングレスポンスと高速安定性を実現している。
サスペンションのセッティングは、A110とA110GTが同じで、A110Sが専用。具体的には、フロントのばねレートを30N/mmから47N/mmに、リアを60N/mmから90N/mmに、前後のアンチロールバーは径を太くすることでフロントは17N/mmから25N/mm、リアは10N/mmから15N/mmにそれぞれ剛性アップが図られている。またタイヤサイズも、A110/A110GTはフロント205/40R18、リア235/40R18、A110Sはから215/40R18、245/40R18に変更されている。
新生A110は2017年のデビューなので、早5年の月日が経っている。今回の改良はまさしく「熟成」という言葉がふさわしいもので、同時にアップルのカープレイやアンドロイドオートにも対応するなど、時流の変化をとらえたアップデートも行なわれている。
A110Sに乗って痛感するのは、「軽量化は万病に効く薬である」ということだ。自動車の開発では至極当たり前のことなのに、スポーツカーを名乗るクルマでさえも現実的には1.5トン超えや2トン前後のものさえ数多く存在する。車両重量が軽ければ、エンジンパワーが強大でなくてもそれなりの加速は得られるし、ばね上の動きのコントロールもしやすくなり、容易に制動できるようになる。A110Sの無駄な動きのないピュアで正確なハンドリングや望外な乗り心地のよさなどはこの車重のおかげである。そしてこの軽快感だけは、さすがの911も手も足も出ない。そしてもうひとつ、911が完敗なのは価格である。1000万円以下という価格は、A110シリーズの圧倒的なアドバンテージなのである。
【Specification】アルピーヌA110S
■全長×全幅×全高=4205×1800×1250mm
■ホイールベース=2420mm
■車両重量=1110kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1798cc
■最高出力=300ps(221kW)/6300rpm
■最大トルク=340Nm(34.6kg-m)/2400rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=215/40R18:245/40 R18
■車両本体価格(税込)=8,970,000円
■問い合わせ先=アルピーヌ・ジャポン☎0800-1238-110