最も対極に位置するテスラ・モデル3
そんな318iと最も対極に位置しているのがテスラ・モデル3である。試乗車はデュアルモーターを備えたいわば中間グレードのロングレンジAWDだった。
レーシングカーデザイナーの由良拓也さんが「すごくクオリティの高い面が出ている、最先端中の最先端のCADデザイン」と絶賛していたエクステリアデザインをはじめ、メーターナセルを排し、タッチパネルに集約することでスカットルを低くして視界を広げたインテリアデザインなど、既存の自動車像から脱皮したスタイルも318iとは対照的だ。
乗ってみてもテスラは異次元だ。重いバッテリーを積んでいるためにバネが硬いが、乗り心地が悪いというものではなく、静かで、アクセルペダルに対する動きもスムーズ。どっしり感があって直進安定性もよく、良く曲がり、しっかりと止まる。また回生ブレーキの効きも強いので、ワンペダルドライブもできる。しかも様々なデバイス(ギミック)を備えた操作も、一度ロジックを覚えてしまえば、実に簡単でわかりやすい。そういう意味においても、EVという以上のインパクトを兼ね備えた画期的な1台と言えるだろう。
ただし、走行モードの切り替えは可能で、加速、コーナリングともに数値的にはレベルが高いのだが、峠やサーキットを攻めるような「駆けぬける喜び」はなく、あくまでスマートなモビリティに徹しているという印象だった。そういう意味でも3シリーズとは対極にあるといえる。
【Specification】テスラ・モデル3ロングレンジAWD
■全長×全幅×全高=4694×1849×1443mm
■ホイールベース=2857mm
■車両重量=1850kg
■原動機=電気モーター×2
■モーター最高出力(F:R)=215ps(158kW):283ps(208kW)
■モーター最大トルク(F:R)=240Nm(24.5kg-m):350Nm(35.7kg-m)
■航続距離=689kkm
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/40R19:235/40R19
■車両本体価格(税込)=6,690,000円
■問い合わせ先=テスラ・ジャパン ☎0120-966-774
スポーツセダンとしてさらに熟成
その点コンパクトなスポーツFRであることに拘り、あえて2020年に2013年デビューの3代目に2度目のビッグマイチェンを施す道を選んだレクサスIS300hは、3シリーズに一番近いコンセプトをもつモデルだ。
そうした期待値が高かったからかもしれないが、全体的に軽く、薄く作ろうとした努力が、表面に出てしまって動的、静的質感が追いついていないのが目についた。特にステアリングの支持剛性は頼りなく、中古車のW204型Cクラスの方がしっかりしているほど。
また、CVTも飛ばしていくと唸り音が大きくなって気になってしまう。もちろん基本設計が古いということもあるかもしれないが、ボディ剛性自体は高く、鼻の入り方などハンドリングの基本も悪くない。スペックや数値は満たしているのに、それを活かしきれていないところは、正直に勿体ないと思う。スポーティにしたいのか、ラグジャリーにしたいのか? すべてを満遍なくこなすのではなく、何かひとつ光るものさえあればいいのにと思う反面、ベーシックモデルであっても、その両面を見事に両立させ破綻していない3シリーズの凄さを感じたのも事実だ。
【Specification】レクサスIS300h version L
■全長×全幅×全高=4710×1840×1435mm
■ホイールベース=2800mm
■車両重量=1690kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+モーター/2493cc
■最高出力=178ps(131kW)/6000rpm
■最大トルク=221Nm(22.5kg-m)/4200-4800rpm
■モーター最高出力=143ps(105kW)
■モーター最大トルク=300Nm(30.6kg-m)
■トランスミッション=電気式無段変速機
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/40R19:235/40R19
■車両本体価格(税込)=6,000,000円
■問い合わせ先=レクサスインフォメーションデスク ☎0800-500-5577