炎を吐きながらサーキットに帰ってきたスカイライン
スカイラインは日産の看板車種と言ってよいほどの存在だが、1970年代後半には、そのイメージにもいくらかの翳りが見えた。4、5代目にあたるC110系(ケンメリ)、C210系(ジャパン)のスカイラインに、モータースポーツでの活躍がなかったことは、その理由として小さくないだろう。50勝という輝かしい記録を打ち立てたGT-Rも1972年のモデルチェンジで姿を消してしまい、翌年にケンメリをベースとした新たなGT-Rが発売されたもののその販売数はごくわずかであったし、サーキットに姿を現すこともなかった。
そういう訳で、GT-Rの後継と言えるような、DOHCエンジンを搭載したスカイラインの復活と、そのレースでの活躍は、ファンにとっても日産にとっても、悲願と言ってよいものだった。その願いがかなえられたのは、6代目スカイライン、R30型系でのことである。1981年に登場した新たなDOHC搭載モデルは、GT-RではなくRSを名乗った。このRSが搭載していたのは、H20型を下敷きに新設計されたという4気筒DOHC16バルブのFJ20型エンジン。そのネーミングがGT-Rでないのは、エンジンが6気筒ではなかったからだという。
そしてこのスカイラインRSは、ケンメリGT-Rとは違いサーキットでも活躍することとなった。それがこの、スカイライン・スーパーシルエットである。このマシーンはR30型スカイラインの2ドア・ハードトップをベースとはしつつも、鋼管パイプフレームを組んで基本骨格とした、まさにプロトタイプマシーンのような車両であった。これは当時、欧州に端を発して隆盛を極めたシルエットフォーミュラ――つまりFIAの規定でグループ5に属するものである。このスーパーシルエットは、RSのイメージカラーである赤/黒のツートンに身を包み、車体にもRS TURBOと書かれていたが、しかしそのエンジンはFJ20ではなかった。
このマシーンが搭載していたのは、L型4気筒をベースとする排気量2139cc、直列4気筒DOHC16バルブにターボチャージャーを装着したLZ20B型エンジン。その最高出力は570PSに達したと言われている。1979年に始まった富士スーパーシルエット・シリーズには、日産ワークスは1981年からシルビアとガゼールで参戦、翌1982年にはガゼールが消えた代わりに、ブルーバードとともにスカイラインが加わって、日産ターボ軍団を形成したのである。ここでスカイラインが参戦に至ったのは、ドライバーの長谷見昌弘自身の尽力も大きかったと言われている。
このスカイライン/ブルーバード/シルビアのスーパーシルエット3台は、サスペンションなどに違いはあるものの基本的には同じ構造を有していたが、中でもスカイラインはその迫力ある走りで人気を博した。1983年には市販車のマイチェンに合わせて鉄仮面顔に改修されている。ここでお目にかけているのは、このスカイライン・スーパーシルエットのアオシマ製1/24スケール・プラモデルをベースに、細部に手を加えてデビュー戦仕様としたものだ。
ボディ延長、エンジンも再現!
アオシマのキットは実車現役当時からあるものだが、ここで使用したのは、デカールをリニューアルした近年のもの。キットのボディはショートテールだが、デビュー戦のみリアの長いロングボディ仕様であったため、ボディを一旦カットしプラ材を挟んで3mm延長した。ウィング取り付け位置も異なるので、取り付け用のスリットを開け直した。リアのメッシュ部分は開口し、ステンレスメッシュを貼り込む。また、フロントグリルが前に出すぎているので、取り付けを引っ込めた。
フロントカウル上面のアウトレットは開口しておらず、またフィンの形はデビュー戦では異なっていた。そこで、プラ板でフィンを自作し、アウトレットを開口して取り付け。グリル下のメッキモール部分には孔が2つ開いているため、削って開口した。エンジン再現に伴いフロントカウルを分離。フロントセクションはプラ材から自作――LZ20B本体、インタークーラーはプラ板から。オイルクーラーはジャンクのラジエターの両端にプラ棒を追加、配管はストローとプラパイプ。パイプフレームはプラ板とプラ棒の組み合わせで構成した。オイルクーラー位置はデビュー戦ではインタークーラーより上だったようだ。
取り付け位置を変更したリアウィングはそれ自体の形状にも手を加えてある。さらにフロント左右に風切り板をプラ板で追加、ルーフアンテナは未装着とするなどして、デビュー戦での状態を細部まで再現している。
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