デビュー以来最大のMCを受けた2017年モデル
今や日本を代表するハイパフォーマンスカー、”スーパーカー”として、ワールドフェイマスな存在となった日産GT-R。そのルーツがスカイラインGT-Rにあることは、今あらためて説明するまでもないだろう。1969年に登場した初代以降、スカイラインGT-RはベースとなるGT系モデルとメカニズムやプラットフォームをシェアしながら、その動力性能を極限まで高めた“超スカイライン”として確固たる地位を築いてきたが、その制約の中で苦しんできたのも確かであった。世界の名だたるスーパースポーツと肩を並べるためには、専用のプラットフォームが必須……そうして2007年に、車名が示す通りにスカイラインとは訣別し、独立したモデルとして登場したのがR35型GT-Rである。
R35の最大の特徴は、エンジンを車体前方に置き、トランスミッション、 4WDトランスファーを車体後方に置いたトランスアクスル方式で、あらゆる走行状況において最良の前後重量バランスやトラクションを得ることに成功している。搭載されるエンジンは3.8L V6ツインターボのVR38DETT。ボディスタイルはむろん2ドア・クーペのみ、スカイラインと袂を分かったとはいえ、丸型テールや精悍なフロントマスク、サイドのウィンドウグラフィックなどにその面影は残されている。
プラモデルにおいても人気は高く、1/24スケールでは実車登場から間を置かずして、タミヤ、アオシマ、フジミの3社がキット化を果たした。それぞれの個性がよく出たキット群であり、タミヤは流麗さを強調したフォルムと組み立てやすさを特徴とし、アオシマはカッチリとした造形とモールドが持ち味で、フジミはスリークなボディとシャープなモールド・細かい分割(エンジン付き仕様では一層際立つ)がアピールポイントと言えるだろう。ただし、実車で年々行われる改良やマイナーチェンジをキットに反映させ続けてきたのはアオシマのみである。
しかしアオシマの改良も、残念ながら2014年モデルを最後に止まってしまっている。実車は2011年型と2017年型で大きくマイナーチェンジを実施しており、特に2017年型での変更点は大きかったのだが、これを製品化した1/24プラモデルは存在していない。ただし、アオシマが近年リリースした1/32スケールの「楽プラ」が、この2017年モデルを再現したものなので、気になる方はこれを作るのも良いだろう。とはいえやはり1/24という大きさで模型が欲しいのもまた事実。ここでお目にかけている作例は、フジミ製キットをベースに2017年モデルへと改造したものなのである。
初期モデルのキットをMY17に改造!
以下、改造ポイントを紹介していこう。フロントフェイスは、まずグリル開口部内を一旦くり抜いてしまい形状を拡大。開口部の形は、従来は上側のカドを落とした四角形であったのに対し、2017年モデルはハッキリとした台形(よく見ると八角形ではある)となる。その他、スポイラーなども含めてシアノンを盛って造形。U字型のグリル部品はプラ板から作っている。リアエンドも形状を変更、ボディ側下部を切り取ってバンパー側へ移動。テールレンズ開口部のヘリが一段盛り上がった形に変更されているので、伸ばしランナーを芯にシアノンを盛って再現した。側面のエアアウトレットもプラ板から作製。
サイドスカートもキットのパーツをベースにシアノンを盛って、2017年モデルの形状に変更。Cピラーの折れ線状のエッジはマイチェンで消滅したので、作例でも削り落して対処した。ホイールは全くデザインが変わってしまったが、手作りでの再現は少々厳しい。作例に使用したのは、協力モデラーであるROSSO Jr. WATANNABE氏の手により起こされたデータを出力サービスで立体化したもの。リアの足元はキットのままだとグラつくので作例では固定した。ボディカラーは、新たに加わったアルティメイトシャイニーオレンジをチョイス。ガイアカラーのNo.015ピュアオレンジと、クレオスのXC02トパーズゴールドを使用した。
以上のような改造は、ひと昔前であれば非常に苦労したであろう作業だが、現代においては、モデリングツールの進化もあり、瞬間接着剤や硬化剤、極薄カットソー、筋彫りタガネ、3Dプリンタサービス等を駆使すれば、さほど困難でもない。皆さんも是非チャレンジして頂きたい。
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