優美さと戦闘力を兼ね備えた、これぞフェラーリ
1960年代のフェラーリの中でも、250GTOに次いで人気の高い名車、250GT SWB。車名の「SWB」はショート・ホイールベースの略であるが、フェラーリ自身が正式に名付けたネーミングではなく、自然発生的に生まれた呼称である。その登場は1959年、それまでツール・ド・フランス8連覇を達成するなどレースで活躍した250GT TdFから、さらに戦闘力を向上させるべくホイールベースを200mm短縮して生まれたのがこのモデルだ。2400mmへと縮められたホイールベースはスタイリングにも好影響を与え、ピニンファリーナによるデザインのボディは強く、美しく、凝縮感のあるものとなっている。
1962年まで生産されたSWBには、ストリートバージョンとレース仕様があるが、1959年に生産されたのはレース仕様のみとされる。レース仕様はアルミボディ、ストリート仕様はスチール製ボディにアルミ製のフードを組み合わせているとされるが、この違いはあまり厳密なものではなく、折衷的な仕様の個体も存在するようだ。搭載されるエンジンはTdFから受け継いだV型12気筒SOHC 2953ccで、最高出力は280hpに達する。サスペンションは前ウィッシュボーン/後リーフ、ブレーキは4輪ともディスク。総生産台数はおよそ160台とされる。
250GT SWBのプラモデルには、イタレリ、エッシー、AMTの各社製キット化があり、また我が国のグンゼ産業(現GSIクレオス)からも、プラ製ボディにメタル製シャシーやエッチングを組み合わせた”ハイテック・モデル”としてリリースされているが、現在いずれも絶版になってしまっており、入手は難しい状況だ。ここでお見せしている作例は、作者・吉田氏がフラッと立ち寄ったリサイクルショップで幸運にも安価で入手したイタレリ製1/24スケール・キットを制作したものである。
素性は悪くないイタレリ製キットをアップデート
フロントノーズ先端は下半分がボディと別になっているので、塗装前に接着、一体化した。リアエンドも同様に作業しつつ形状も修正。垂直に切り落とされた形に近いため、削り込んで若干寝た感じに改めた。窓枠のモールドは少々曖昧なため、ペンライナーとタガネで彫り込んでハッキリさせている。エンジンフードはヒンジが少々太いので、針金で作り変え。フードそのものもチリがゆるいので、外周にプラ板を貼って隙間を詰めた。バンパーレス仕様とするためフロントバンパーの取り付け孔を再現、車体各部のエンブレムには、MSMクリエーションのものを使用。
シャシーはまず、前輪がステア不可なのが気になる。ナックルやタイロッドを自作しステア可能に改めた。ホイールはリアリティに欠けるため、フジミのボラーニ(15インチ)に変更。タイヤは付属のものは角張って大きいため、タミヤのミシュラン(R30スカイラインなどに付属)を組み合わせた。イタレリのホイール取り付け方式に対応するため、ホイール裏側にパイプ状のジャンクパーツを使って軸受けを追加。エンジンにはキャブレターのヒートインシュレーターが付くが、エンジンフードと干渉するため削り込む。オイルブリーザーキャップの位置が異なるため変更し、プラグコードを追加。コクピットにはシートベルトをプラス、キャッチはアルミ板で自作した。ステアリング中央には、前述のMSMクリエーション製七宝焼き風エンブレムを取り付けている。
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