マツダ第4のロータリー搭載車
マツダ・カペラは、ファミリアとルーチェの間を埋める新規車種として、1970年に登場した。以後7世代にわたってラインナップされたのち、その地位はアテンザ、そしてマツダ6へと受け継がれている。1970年はマツダ(当時は東洋工業)の創立50周年にあたることもあり、カペラはその記念モデルとして、また当時マツダが邁進していた”ロータリゼーション”の担い手として、華々しくデビューを飾った。その力の入れようは、発表会を帝国ホテルで行ったことからも窺える。
カペラは、コスモスポーツ、ファミリア・ロータリークーペ、ルーチェ・ロータリークーペに続くマツダ4車種目のロータリー搭載車であった。ボディ形式は4ドア・セダンと2ドア・クーペの2種類で、そのいずれにもロータリーとレシプロが用意されている。カペラ用のロータリーエンジンは新開発となる12A型であるが、これはそれまでの10A型をベースに排気量をアップしたもので、573cc×2から最高出力120PSを絞り出している。このレシプロ2Lクラス並みのパワーを持つエンジンにより、最高速190km/h、0→400m加速15.7秒と、当時のスポーツカーに充分匹敵する性能を有していた。レシプロエンジンは1600ccのOHCで、最高出力100PSだ。
そんなカペラであるが、モータースポーツでの活躍が思わしくなかったこともあってか、第5のロータリー搭載車であるサバンナに比べると若干影の薄い印象もあり、プラモデル化にはあまり恵まれていない。バンダイ1/20、コガ1/24というのがよく知られたキットであろう。ここでお見せしているカペラは、バンダイ製1/20(のOEMであるエンテックス版)を、若干のブラッシュアップ込みで仕上げた作品である。
幅の狭い感じを幅をいじらずに払拭
バンダイのカペラは、実車と比較するとちょっと幅の狭いような感じがあるのだが、実車の図面をもとに検証してみると実際にはそうではなく、フロントグリルが縦方向に間延びしているのが原因であるようだ。そこでグリル外周のモールから上下の部分を削除しプラ板で新造。さらに、バンパー下の開口部を新たに開け直した。フロントのコーナー部分のボリューム感が顔つきに違和感を与えていることにも気づいたので、この部分を後退角が付くように削り込んでいる。
リア周りは両端が尖りすぎているのでまず内側をプラ材で埋めてから、リアパネルをカット。プラ板を上下に重ねたリアパネルを少し逆スラントに貼った。この上に乗る形でリアガーニッシュをプラ板から自作、外周のモールは金属線で取り付けている。テールレンズのベゼルは汎用パーツの丸ノズル(直径7mm)を使用。そしてフロント同様にボディの両端を斜めに削った。さらにレンズリムは内側に径の小さいものを重ねって厚みを増し、内側を開口している。
こうして出来上がった初代カペラだが、ボディカラーと黒いレザートップ、ドライバー側のみ追加されたドアミラーなどの特徴から、ピンと来る人もいるかもしれない。実はこのカペラは、1970年代の某刑事ドラマに登場する犯人車(スタント用車両)を再現したものなのだ。迫力あるカーチェイスを思い出して(あるいは想像して)眺めてみて頂きたい。