コンパクトSUVでも駆けぬける歓びを堪能
2020年夏に導入された新型Q3やGLBに対して、X2の国内デビューは’18年春に遡る。X1から派生した、BMW言うところのSAC(スポーツ・アクティブ・クーペ)である。すでに路上でもおなじみだが、直近で加わったディーゼルモデルが20dだ。これまでの18dと同じ2Lだが、X3用と共通の高出力型でプラス40psの190psを得ている。今回、ほか2台の150ps勢にも差をつけるパワフル系クリーンディーゼルSUVである。試乗車は4WDのMスポーツXエディションジョイ+(536万円)。同グレードの18dより9万円しか高くない。
BMW X2 xDrive 20d MスポーツXエディション ジョイ+
【Specification】■全長×全幅×全高=4375×1825×1535mm■ホイールベース=2670mm■車両重量=1680kg■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1995cc■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-2500rpm■トランスミッション=8速AT■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク■タイヤサイズ(F:R)=225/45R19:225/45R19■車両本体価格(税込)=5,360,000円
この3台比較で初めてX2のステアリングを握ったのは高速道路のSAからだった。パワーとトルクの余裕は本線合流時から明らか。ディーゼルとわかる細かなバイブレーションは常にあるが、チカラも常にある。低速トルクの豊かさを利して、ガソリンモデルより街中での“生活加速”にすぐれるのはディーゼルの特色だが、このクルマは高速域でもパンチがある。
SUVとは一線を画すスポーティモデル
スタイリッシュなクーペデザインを取り入れることによりXモデルらしいオフロード性能と都会的な存在感を併せ持つSAC。インテリアも低めのドライビングポジションなどにより、スポーティな印象を強調。
100km/h時のエンジン回転数は、3台とも1500rpm。しかしそこからキックダウンを効かせて加速すると、X2の速さは別格だ。街中ほどの力強さが、高速道路へ行くと味わえないという、2L級ディーゼルにありがちなトホホ感がこのクルマにはない。20dにFF(2WD)モデルの品揃えはないが、400Nmの最大トルクを伝えるにはXドライブがマストだろう。燃費計測はしていないが、ロケ地に集合したとき、それぞれの車載燃費計をチェックすると、いずれも14km/L台を示していた。燃料経済性も150ps勢に負けていないようだ。
ボディ/シャシーの印象はこれまでどおりである。ネジをきつく締め込んだような剛性感の高いボディにMスポーツサスペンションの組み合わせだから、乗り心地は硬い。ランフラットのピレリP7も乗り心地フレンドリーではないが、そのかわり、スポーティな“地面感”はたっぷり味わえる。高速道路でもアダプティブ・クルーズコントロールなどのお世話にならず、自分の手足を駆使して走っていたいと思わせるクルマだ。これをSUVにくくるなら、X2は「SUVのスポーツカー」と呼びたい。
【PERSONAL CHOICE】BMW X2 xDrive 20d M Sport X Edition Joy+
走りが断然スポーティ
ベンツビーエムアウディの同クラス比較試乗をすると、メルセデスは一番大きくて豊かな感じがする。アウディは最もやさしい感じがする。そしてBMWは一番スポーティに感じる。今回も同じ。X2だけスポーツカーでした。