※この記事は2007年3月に発売された「VW GOLF FAN Vol.11」から転載されたものです。
ゴルフファン垂涎のSOHC搭載の2ドアを元に戻す!
’90 GOLF CLi by SUZUKI WORKS
関東編、関西編と続けてきた各整備工場、ショップでのゴルフⅡリフレッシュ大作戦。このスズキワークスのCLiは通算6台目となるから、IIを元の状態に戻すにあたって、どんな部品が必要かは大体見えてきたはず。だが、興味深いのは工場、ショップによって、なにを重視するかが変わる点なのだ。
展示場に置かれていたCLiは、2ドアのオートマチック。走行距離も55,000kmチョイと少なく、程度は悪くない。「最初はATで乗って、飽きたらマニュアルにするなんてどう?」と、鈴木さん。
ユニークなVW専門店
中部を代表して登場してもらったスズキワークスは、かなりユニークなVW専門店だ。まず、いまどき、日曜日が休業日。名古屋の守山区にある工場と展示場は、クルマの往来がある大きな通りに面しているわけではない。面しているのはJR中央線。中央線を通勤や通学にお使いの方は、新守山駅と勝川駅の間で、VWのマークを掲げた同社の看板を見たことがあるに違いない。とても整備工場、あるいは展示場が相応しいとは思えないところに、同社はある。
「ここに工場を構えてもう16年になるけど、全然不満じゃないですね。ひとりで気楽にやるには、こんな感じのほうがいいですよ」
語るは、もちろん社長兼従業員である鈴木太さんだ。
(左上)ゴルフIIのリフレッシュに、エンジンのヘッドカバーガスケットの交換は欠かせない。必須の要交換部品だ。(右上)ヘッドカバーガスケットを交換するなら、カムシールを交換しない手はない。もちろん、スズキワークスは常に在庫。(下)ご覧のように、カムシャフト回りは走行距離を反映して、比較的きれいな状態を保っていた。エンジンスタート時のタペット音も少なかった。
鈴木さんは中日本自動車短大を優秀な成績で卒業、某自動車メーカーに就職し、整備マニュアルを製作する部門に勤める。しかし、数年で「自分で整備の仕事をやりたい」と思うようになり、24歳で独立、工場を構えることになる。当初は決してVW専門ではなかったそうだ。輸入車を中心に、ほかの工場から整備を請け負う「受け取り」仕事をやっていたという。
「ワーゲンが好きなのはいわゆる“刷り込み”っていうヤツかなぁ。学生時代に、最初に買ったクルマがゴルフなんです。専門的になってきたのは、やっぱりゴルフが中古車市場でもてはやされた12〜3年前からです。あの頃は、ウチもバンバン売ってました。それが忘れられずに、いまもやってるってことでしょうね(笑)」
サービスベルトを交換、張りを調整する。「新品はどうしたって伸びてしまいますから、しばらく走ってもう一回調整したほうがいいですね」と、鈴木さんはいう。
(左上)エアコンベルト、ダイナモベルト、パワステベルトなどのサービスベルト交換も必須。(右上)状態は悪くなかったが、トゥースドベルト(タイミングベルト) や、そのテンショナーも交換。(下)ベルト類の交換は作業を容易にするため、エアフィルターのユニットを外してしまうのが常道。工具の入りやすさがまったく違うという。
スズキワークスといえば、モータースポーツ活動に熱心であることもご存知の通り。クルマが売れなくなって余裕ができた(?)ことから、また’99年、ゴルフのワンメイクレースが始まったことから、あくまでも趣味の範囲でだが、参加するようになったという。このところは、セントラル・サーキットで開催されているゴルフレースの常連。スズキワークスといえば、マシン、ドライバーとも速いことがよく知られている。
電装関連消耗部品は、不具合があれば必ずエンジンの調子に反映され、止まってしまう可能性も少なくないため、ほとんどすべてを交換することに。言い換えれば、ここさえやっておけば、よほどのことがない限り止まらない?
(左上)ディスビのキャップ、ローター交換はもちろん大前提となる。(右上)プラグはイリジウム入りを使う。着火性が高く、耐久性があるからだ。(下)コードはウルトラを使う。その性能を考えれば、コストパフォーマンスに優れるという。
さて、そんなスズキワークスはどういう方向で、ゴルフをリフレッシュするのか。
エンジンオイルを交換するなら、オイルフィルターも交換する主義。これも、鈴木さんにとっては、いわば常識。