2021年3月初旬に世界同時発売開始
パワーユニットは、一昨年に発表されたX3MとX4M、そしてそれぞれのコンペティションモデルに搭載される3L直列6気筒ツインターボ。開発コードS58と名付けられたM専用エンジンは、EVやPHEVが台頭する今日では考えられないほど開発に時間と労力が掛けられている。
M社開発担当副社長のディルク・ヘッカーは「BMWはバイエルンのエンジン工場だが、我々はバイエルンのハイパフォーマンスエンジン工場です。このS58と本社のエンジンの共通点はシリンダーピッチとクランクケースリアカバー、バルブトロニック、スターター、ジェネレーター、点火コイル程度。90%は新設計したパーツだ」と自信たっぷりに語る。
そのこだわりは排気量をみてもわかる。MパフォーマンスモデルのM340i xDriveに搭載されるB58の排気量は2998ccである一方、S58は2993cc。B58のボア×ストロークが82.0mm×94.6mmなのに対して、S58では84.0mm×90.0mmとストロークを切り詰めている。
その理由は、Mエンジンがわずかでもシリンダー面からの熱損失を防ぎ、高回転で高出力を生み出すようにピストン速度を遅くする必要があったからだ。その結果、スタンダードの最高出力は480ps/6250rpm、最大トルクは550Nm/2650-6130rpm。コンペティションモデルでは最高出力510ps/6250rpm、最大トルク650Nm/2750-550rpmを発揮。ちなみに、M社が設定している絶対許容回転数は7200rpmとなる。
さらに、このS58には、B58のツインスクロールターボ1基に対して、小型のモノスクロールターボを2基装着。効率でいえば1基で6本のシリンダーをカバーする前者の方が優れているが、3本のシリンダーをそれぞれ受け持つ2基のターボは直径が小さいため、当然ながら鋭いピックアップを可能にするというわけだ。
組み合わされるトランスミッションは6速MTと8速AT(ZF製)で、もちろん後輪を駆動。公式発表によるダイナミック性能は、M3とM4の6速MT仕様が0→100km/h加速4.8秒、同コンペティションモデルの8速AT仕様が3.9秒。最高速度は全車250km/hでリミッターとなるが、オプションで290km/hにまで引き上げることが可能だ。
サスペンションは、両車ともフロントがストラット、リアがマルチリンクと、基本的には現行3シリーズと共通のシャシーを採用。ただし、M社では両車ともに取り付け部の剛性を強化、トーション・スティフネスが確保され、スポーティなハンドリングと正確なステアリング特性を実現している。また、標準装備される電子制御ダンパーからなるアダプティブMサスペンションは、あらゆる走行シーンで最良のロードホールディングとトラクションを約束する。
なお、BMWは来夏までにコンペティションモデルに4WD仕様を追加するとも発表している。MxDriveとネーミングされた4WDシステムのトルク配分特性はFR寄りの設定で、リアアクスルにはアクティブMディファレンシャルが組み込まれている。
M3とM4の発売は202年3月初旬、BMWのポリシーに則り世界同時に行われる。正式な価格はまだ発表されていないが、いずれもベースモデルでM3は8万2500ユーロ(約1040万円*19%の付加価値税込み)、M4は8万4000ユーロ(約1060万円)、8速AT仕様のコンペティションモデルは7000ユーロ高(+約88万円)と予想されている。
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