欧州車のサスチューンでは、長らく定番の地位に君臨してきたビルシュタイン。G20型3シリーズに対応するB14は、BMW用としては最新となる車高調キットだ。その魅力は、ホンキの走りにも応えるスポーツ性にあるという。
本来のスポーツ資質を高めつつセダン用としての快適性も両立
ドイツ生まれらしいクオリティの高さと、それを裏打ちするモータースポーツを筆頭とする数々の輝かしい実績を武器に、サスチューンの世界では古くから安定した支持を集めるビルシュタイン。自動車メーカーの(一部高性能モデル向け)純正指定銘柄でもあるだけに、商品ラインナップも豊富。BMWに対応するアイテムも、ノーマルの補修用ダンパーから本格的なサスキットまで幅広い品揃えを誇っている。
いまのところ、現行3シリーズ(G20/G21)に対応するのはサスキットのみ。今回ご紹介するのは、日本のビルシュタインテクニカルセンターで開発、生産が行われているB14(BSS)キットで、その持ち味は武闘派ヘビーユーザーにも対応するスポーツ性の高さにあるという。
この3シリーズ用B14は、モータースポーツ直系となるネジ式車高調整システムを採用。ミリ単位の精密なアジャストを可能とする高精度なネジ山を備えることに加え、「トリプルCテクノロジー」と名付けられた3層コーティングを組み合わせて優れた強度と耐腐食性が確保されている。設定できるローダウン値は、前後とも20 ~40mm。推奨値は320iの場合が30mm、同Mスポーツでは20mmとなっている。そして、組み合わせるダンパーは、ビルシュタインが世界に先駆けて採用した伝統のガス封入式モノチューブ構造。高精度な作りも合わせて常に安定した減衰力を発揮するだけでなく、構造的メリットを活かしてフロントは高剛性化に寄与する倒立式となる。
セッティングは、市場でニーズの高い大径ホイールの装着を前提として実施。実際、今回のデモ車両にはBBSの20インチ、CC-Rが装着されていた。3シリーズ用としては、BMWらしい優れた前後重量配分と運動性能の高さがダイレクトに味わえるキャラクターに仕上げられているという。
ノーマルは日常域のライド感でソリッドな感触を示す一方、本格的なスポーツ走行になるといささか姿勢変化が大きい、とは開発陣の弁だが、このB14では前述の通り持ち前の資質が深化。今回は短時間ながらデモ車両に試乗する機会に恵まれたのだが、走らせてみるとスポーツ性の高さは明らかだ。まず、ステアリング操作に対するレスポンスが一層ダイレクトになっていることに加え、操舵感も雑味を廃した良い意味で軽い感触へと変化している。
また、速度を上げ入力を大きくした際の挙動も、ロールが一層漸進的となりスタビリティの高さを披露。加えて、バネレートや減衰力がノーマルよりハードな方向に振られていることこそ実感できるが、サスペンションの動き自体はしなやか。それだけに、サーキットのような滑らかなサーフェスだけでなく荒れた一般道でも安心して走らせることができる。
スポーツ志向とはいいつつ、決して乗り心地がスパルタンなわけではないことも嬉しい発見だった。ノーマルに対して当然硬めではある。しかし、低級に跳ね回る類ではなく、入力をスッキリと収めてフラットな姿勢を保つので、少なくとも運転席にいる限りは短時間で馴れる仕立てだ。セダンの3シリーズ用、という意味では快適性とスポーツ性のバランスは、実に的を射た味付けということができる。
BILSTEIN EVO S
EVO Sは、ビルシュタインの中でもストリートユースに適した車高調キット。マイルドな乗り心地を実現した、オプティカルチューン派にオススメだ。G20/G21用のローダウン値はフロントが25~50mm、リアは20~55mm。ダンパーはフロント用がツインチューブで、リアはモノチューブとなる。税抜き価格は218,000円。
お問い合わせ
阿部商会 0800-100-4182 https://abeshokai.jp
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