【海外試乗】「フォルクスワーゲン TロックR」Tロックは「R」でこそ輝きを増す

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今年、日本市場にも導入されるコンパクトクロスオーバーのTロック。今回、発売開始からすでに3年が経過しているドイツをはじめとする欧州では、そのスポーツバージョンとなるTロックRのデリバリーがスタートした。グンと精悍さを増したルックスを見ただけで、「R」こそ本命と思うのでは!?

R仕立てならではのバランスの良さが◎

日本に先行導入されたTクロスの兄貴分にあたる、CセグメントのクロスオーバーSUVがTロック。その高性能版となるRが搭載するエンジンは、ゴルフRからコンバートされたEA888、すなわち2L 4気筒直噴ターボで、最高出力は300ps、最大トルクは400Nmを発揮。7速DSGとの組み合わせで0→100km/h加速は4.8秒、最高速度は250km/hでリミッターが介入するという、なかなかのハイパフォーマーだ。

0→100km/h加速は4.8秒、最高速度は250km/hでリミッター制御。その動力性能を支えるのはR専用となる最新の4モーションだ。

そのエクステリアには、ボディ前後左右につく4つの「R」ロゴのほか、フロントにはブラックグリルとワイドなエアインテーク、そして縦型のデイドライビングライトを装着。ボディサイドにはワイドなオーバーフェンダー、クロームハウジングを持つドアミラーが、リアにはルーフスポイラーとディフューザー、そして左右2本出しのテールパイプを採用し標準モデルと差別化される。一方、インテリアではサポート性に優れたアルカンターラとクロスのスポーツシート、ステンレス製のペダルがスポーティな雰囲気を醸し出す。

スポーティとコンフォートを両立する懐の深いフットワーク。ドライブロジックは4モードで、「レース」ではローンチコントロールも可能。

今回の試乗ルートは南仏ニースの裏山、複合コーナーの連続によりスポーティな走りを楽しめるステージだ。4段階あるドライブモード(コンフォート、ノーマル、レース、インディヴィデュアル)のうち、まずはノーマルを選択して走り出すが、スロットルペダルを踏んだ瞬間、ほんのわずかな間をおいて1.6トンのコンパクトクロスオーバーは軽快な加速を開始した。山間部に入って「レース」にスイッチするとスロットルはいきおい敏感になり、ステアリングレスポンスもアップ、ダイレクトな走りが楽しめる。全長は4.6mにも関わらず、スポーツシャシーのおかげでロールやピッチングはミニマムに抑えられ、軽快なステップを踏んでコーナーを駆け抜けていける。ゴルフRのパフォーマンス・パッケージから移植された17インチディスクブレーキは、TロックRのパフォーマンスに相応しいコントローラブルな制動力を発揮、下りコーナーの連続でも積極的に走らせることができる。

エンジンはゴルフVIIのRと同じ2L TFSIのハイチューン版で300psと400Nmを発生。トランスミッションは7速DSGを組み合わせる。

もちろん、こうした走りを支えるのはハルデックスクラッチによる4モーションで、必要に応じてリニアに後輪へトルクを配分。この作動はR専用としてきわめてクレバーにチューニングされており、アンダーステアを低減して安定させるだけでなく、積極的に後輪を使って走らせることが可能だ。

タイヤサイズは18インチが標準だが、今回のテスト車にはオプションの235/40R19が装着。ブレーキシステムもR専用となる。

こうしたスポーティな側面を持つ一方、R社の哲学である実用性も損なってはいない。ラゲッジルーム容量は392Lをキープし、ルーフ積載は75kgまで可能。オプションのトーイングクラッチを装備すれば1.9トンまでの牽引が約束されている。もちろん、ADASも充実しており、アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー渋滞モード付き)、レーンキープアシスト、後方死角ウォーニング、緊急ブレーキアシストが標準装備。インフォテイメントも、標準モデル同様に充実している。

ブラックアウトされたラジエターグリルとワイドなエアインテーク、ルーフエンドスポイラーがRの証。このほか官能的なサウンドを響かせるアクラポヴィッチ製のエキゾーストはオプションで3,800ユーロ(約46万円)。

このようにスポーツ性能と実用性を兼ね備えたTロックR。ドイツでのベース価格は4万3995ユーロ(約530万円*19%の付加価値税込み)と、標準モデルよりも約100万円高と発表されているが、いわばコンベンショナルなSUVであるティグアンの存在を考えると、Tロックは「R」でこそ輝きを増すような気がする。

フォト=フォルクスワーゲンAG/VOLKSWAGEN AG ル・ボラン2020年4月号より転載

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2020/03/23 11:00

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