いまやライフスタイルに合わせて、ボディサイズや用途、パワートレインといった、さまざまな選択肢が用意されているSUV。そんな中でもいま旬なのが、続々とラインアップを拡大しているクーペSUVのカテゴリー。ここでは、最新のコンパクトクーペSUVを集めて、その人気の魅力に迫ってみた。
スタイリッシュなボディと新開発ハイブリッドが武器
ズバリ言ってしまえば、クーペSUVの一番の魅力はトレンドの最先端のクルマに乗る昂揚感だろう。SUVが乗用車の中心的存在となった今、コダワリのアピールにはその一歩先が必要。それでいてSUVらしい高い機能性や視界の良さなどの魅力も依然として備わるとなれば、人気の高まりにも納得というものだ。
ルノー・アルカナは、まさにそうしたクーペSUVの魅力をこのブランドらしいかたちで表現したモデルである。カングーを除けば、どのモデルも大胆でスタイリッシュなフォルムが自慢のルノーだけに、初めてのクーペSUVにも違和感はなく、個性的かつスタイリッシュに仕上がっている。
内装はブラック基調にレッドのアクセントでスポーティな仕立て。シート地はレザーとスエード調素材のコンビネーションで、クオリティ感もある。10.2インチのフルデジタルメーターパネル、ダッシュ中央の7インチタッチスクリーンなどの採用により先進感も十分。後席、荷室もSUVとして申し分ない広さ、容量を備える。
しかもアルカナは新開発のE-TECHハイブリッドという大きな武器を携えている。1.6L自然吸気エンジンと2基の電気モーターによるこのフルハイブリッドシステムの特徴は、そこにドッグクラッチを使ったマルチモードATを組み合わせていることだ。
発進は電気モーターで行なわれ、速度が高まるとエンジンが始動するが、この時にも段付き感などはない。レスポンスにも切れ味がありアクセルを踏めばスッと反応する、その好感触には同時にエンジン音もリンクして高まるのもひと役買っている。あえて有段ATを使ったのは、この走りのリニアリティを求めたからに違いない。
ドッグクラッチはダイレクトな締結感の一方、本来はショックが大きい。それをE-TECHハイブリッドは、ハイボルテージスタータージェネレーターにエンジンスタート、充電の他に変速時のギアの回転速度を高める働きもさせることでクリアしている。
それでも、振動こそ確かにないものの変速ノイズが微かに聞こえてくるし、アクセルオフでいきなりエンジン音が高まったかと思ったらフッと停止したりと、特有の違和感を覚えなくはない。けれど、クルマ好きならそれも面白がれる範囲と言っていいだろう。
さすがルノーらしくフットワークも上々。しなやかに路面を捉えたコーナリング、ステアリングに伝わる路面感覚の豊かさなどが、走りを楽しくしてくれる。1.5トンを切る車重も、軽やかさに繋がっているポイント。これはあえてBセグメント用のCMF-Bプラットフォームを使った恩恵だろう。しかも、そのおかげでストップ&ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロール、要するに日産プロパイロットも備わるから、長距離ドライブも苦にしないのだ。
【Specification】ルノー・アルカナR.S. LINE E-TECHハイブリッド
■全長×全幅×全高=4570×1820×1580mm
■ホイールベース=2720mm
■車両重量=1470kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V/1597cc
■最高出力=94ps(69kW)/5600rpm
■最大トルク=148Nm(15.1kg-m)/3600rpm
■トランスミッション=ドッグクラッチマルチモードAT
■モーター最高出力=メイン:49ps(36kW)/1677-6000rpmサブ:20ps(15kW)/2865-10,000rpm
■モーター最大トルク=メイン:205Nm(20.9kg-m)/200-1677rpmサブ:50Nm(5.1kg-m)200-2865rpm
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=ディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=215/55R18:215/55R18
■車両本体価格(税込)=4,290,000円
■問い合わせ先=ルノー・ジャポン ☎0120-676-365