【国内試乗】「マクラーレンGT」マクラーレン初のグランドツーリングカーが上陸!

レーシングテクノロジーをフィードバック

GTに搭載されるエンジンは4Lの排気量を持つV8ツインターボで、その出力は620ps/630Nmにも及ぶ。対して570GTのV8ツインターボは3.8Lの排気量から570ps/600Nmのパワー&トルクを発揮するから、パワーウェイトレシオ的に見てもマクラーレンGTは2.46kg/ps、570GTが約2.63kg/psと、これをわずかに上回っているのである。

パワーウェイトレシオ2kg台の動力性能といえば、それはもうレーシングカーの領域だ。
そのハンドリングもマクラーレンがこの10年で積み上げてきた、レーシングスペックを市販車へとキャリブレーションする技術の結晶そのものであり、少なくともタイヤのグリップが全てを支配するオープンロードでは、そこにアンダーステアやオーバーステアを語る余地はない。極めてドライバーの操作に忠実な、オンザレールのハンドリングとなっている。

プロアクティブ・ダンピング・コントロールシステムはその設定を3段階に可変するが、むしろ一番ソフトな「C」モードが日常的な路面にはベストマッチで、おまけにこれが、恐ろしく乗り心地がいい。そして速度が上がるほどに車体は路面へ吸い寄せられ、タイヤがそのグリップを高めて行く。

リフトアップ機構が備わり、必要に応じてフロントの最低地上高を110→130mmに引き上げられる。タイヤは専用に開発された「ピレリP ZERO」を装着。サイズはフロントが20インチ、リアが21インチ。

V8ツインターボのサウンドは、官能的とは言えない。しかしアクセルを踏み込めば空気を思い切り詰め込んでいるのがはっきりとわかる回転上昇感。これを閉じたときの排圧の高さ。そしてパーシャル領域からの鋭いピックアップを味わうと、このユニットがいかに真面目に作り込まれているのかを思い知らされる。7速DCTの途切れないシフトワークを介して、バカみたいなパワーをどこからでも引き出すことができる喜び。走り込めば走り込むほど、その質感が体に染み渡ってくる感じがする。

車体中央にV8ユニットを低くマウントするレイアウトの素晴らしさは、これこそがマクラーレンを手に入れる最大の理由であり、その恩恵はGTにもきっちりと受け継がれていた。そしてカーボン製バスタブシャシー「モノセルII-T」の堅牢さが、620psのパワーを完璧に受け止めた上で、そのピュア・レイアウトの美点を余すところなく動きに変換してくれた。720Sなどはここからさらに異次元の俊敏性を上乗せし、ワープするような身のこなしを披露してくれるが、「GT」の名を冠するのであればここで寸止めするのもアリだろう。むしろ鋭利過ぎないハンドリング、その動力性能をトゥーマッチに感じさせない抑え込みが見事だと思う。

だからマクラーレンGTを運転していると、戦慄こそ覚えないがどこまでも走り続けたくなる。速さの中にも乗り手を陶酔させる走りの上質感は、まさにマクラーレンが作るGTカーだと言えよう。
まだまだ室内でレザー張りがきしむなど市販車としての洗練を得ていない部分もあるが、果たしてそれを得たときに、今の狂気を保っていられるのか? そう考えると、このままでも良い気がする。
私がこれを手に入れたら、恋人を連れずにまずひとりで遠方を目指すだろう。それほどマクラーレンGTの走りはスウィートだ。ハイエンドカーは速くて当たり前。いかに贅沢な時間を過ごせるかが、何より大切なのである。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2020年3月号より転載

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2020/02/09 12:00

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