【サーキット試乗】「ニッサン GT-R ニスモ」さらなる進化を遂げた“ザ・ジャパニーズ・スーパースポーツ”

間違いなくGT-Rはいまだ一線級のスーパースポーツだ

それだけに試乗してまず感じたのは、これまでの高い動力性能と運動性能が融合していた部分から生まれる、走りの解像度が高くなった感覚。操作に対するボディの反応や加減速、タイヤと路面の接地感などがいままで以上にクリアなものとしてドライバーの体に伝わってくるのである。

エンジンフード、フロントフェンダー、ルーフを新たにカーボン製とすることで、約10.5㎏の軽量化を実現。フロント&リアバンパー、トランクリッドも同じくカーボン製だが、いずれも新工法を取り入れることで、見栄えも良くなった。一方、フロントフェンダーにはGT3マシンの技術をフィードバックしたエアアウトレットを新設定。フロントダウンフォース増加に加え、エンジンルームの冷却性向上に貢献している。

路面の荒れたところやバンプでの接地性が高い上に、ボディそのものを揺すらないように抑えが効いている。路面からの入力を上手くいなすため安定性の高さは相当のものだ。

タイヤは、プロファイルやパターン、生産工程を最適化することで接地面積を11%向上、ゴムも新開発することで、コーナリングフォースを5%向上させた。

しかしながら操作に対しては、間髪入れず気持ちよく反応を見せてくれて、これほどの大パワー/大トルクのクルマであるにも関わらず、全てがコントロール下に置かれているように感じさせてくれる点も優れている。

カーボンセラミックブレーキは、高負荷走行のみではなく、市街地など普段の走行でも優れたコントロール性を確保している。

ただし、今回のニスモにとって、袖ヶ浦フォレストレースウェイはやや狭すぎるフィールドであることも間違いない。特にコーナーの曲率がGT-Rにとっては小さいところが多いので、2017年モデルと比べるとこのサーキットでは向きが変えづらく感じる場合もあった。特に以前はスロットルを抜いて向きを変えるようなシーンで、2020年モデルはしっかりと路面を捉え続け、リアもしっかりと踏ん張るため、小さなコーナーでは向きが変わりづらく思えたのだった。とはいえ、ベルリン郊外のDTMも開催されるような規模のサーキットの中速以上のコーナーでは、これ以上ないほどのコントローラブルな姿勢変化と操縦性を見せてくれたのだから、よりハイレベルな進化を遂げたといえる。
すでに12年が経過して古さを隠せない部分もあるが、それでも間違いなくGT-Rはいまだ一線級のスーパースポーツだった。

フォト=柏田芳敬/Y.Kashiwada ル・ボラン2020年1月号より転載

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2019/12/10 11:00

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