【国内試乗】「DS オートモビル DS3 クロスバック」デザインコンシャスなコンパクトSUVが登場

嶋田智之
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2019/09/14 11:00

DS7クロスバックに続いてDSブランドのオリジナルモデルとして開発された新生DSの第2弾「DS3 クロスバック」がついに登場。その魅力はコンパクトなボディと個性的なスタイリング。性能とデザインの好バランスぶりをとくとご覧あれ!

ダッシュボードには煌びやかなダイヤモンド

ここ数年、乗ってみて意表を突いた感じで「いいなぁコレ……」と思わされることの多いのが、グループPSAのフレンチ3ブランドのクルマ達だ。いや、ナメた気分で対峙してるわけじゃない。むしろそれぞれのクルマに見合った期待感を抱きながら走りはじめてる。が、近いところではプジョー308の1.2Lターボ+8速ATというベーシックモデルに“ゴルフより乗り味いいかも”と思わされ、シトロエンC5エアクロスのデジタル不在の足腰に“昔のハイドロの気持ちよさが再現されてるじゃん”と驚かされた。そんな具合に、期待を超えた領域で感激させられる。このDS3クロスバックも、見事にそうだった。

パッと見ではこれまでのDS3のイメージを継承した凝ったデザインの5ドアボディを流行りのSUVに仕立てたルックス。Bピラーのシャークフィンやドア下側の彫刻刀を入れたかのようなキャラクターライン、ディテールのあつらえの繊細さなどなど、そのスタイリングは徹底してデザインコンシャスだ。

インテリアはさらに、といっていいかも知れない。比較的シンプルな造形のダッシュボードの真ん中に、ルーヴルのピラミッドを思わせる煌びやかなダイヤモンド5つと控えめなダイヤモンド2つを集めてスイッチ類を収め、センターコンソール脇のクロームのラインにもダイヤモンドを連想させる形状のスイッチを並べ、レザーシートのステッチまでもがダイヤモンド。

けれど色使いにも光り加減にも嫌味な派手さはなく、全体のトーンとしてはシックとすらいえる雰囲気。中も外もエレガンスと大胆さが矛盾もなく同居していて、物凄くインプレッシヴなのだ。ここまでデザインで惹き付けてくれるなら“以上!”で終わっても、まぁ文句はない。

が、DS3クロスバックの「いいなぁコレ……」は、実はそこから先。走っている間中、常にどこか気持ちよさを感じさせられるようなところがあるのだ。

まず、乗り心地がいい。“いい”というより“気持ちいい”。サスペンションは電子制御なしの変哲のないバネ+ダンパーなのに、路面の凹凸を密度のある柔らかさに変換して伝えてくるから心地いいのだ。シートの絶妙な硬さやPSA真新のプラットフォームの恩恵もあるのだろうが、サスペンションそのもののセットアップが素晴らしく巧み。

だから、曲がる。ちゃんと曲がる。素直に曲がる。ロールはそれなりにあるけれど、車体が傾いていくその様が綺麗に抑制されていて、気持ちよくすんなり曲がる。タイヤを鳴らして走るのが似合うクルマじゃないが、それなりに追い込んでいってみても、その印象は全く変わりない。そのあたりの乗り味は高級サルーンのよう、といっても過言じゃないだろう。

加えてパワーユニットは、お馴染みピュアテックの1.2L直3ターボである。230Nmの最大トルクを1750rpmで発揮してくれるから、常用域ではいつでも望外の力強さを得られるし、8速ATがエンジンの美味しいところを巧みに使わせてくれるから、安楽にしてスムーズ。しかも踏めばそれなりに活発だ。そう、クルマとしての嗜みがきちんと行き届いてる。あらゆる局面でちゃんとしていて、あらゆる局面で気持ちがいい、といえる。

SUVルックでありながら全高は1550mmと一般的な立体駐車場に収まる。セグメント初のフラッシュ(格納式)ドアハンドルも採用する

個性派、お洒落系というイメージが先行しそうなクルマだが、その実は1台のクルマとして極めてまとまりがよく、極めて有能。もし見た目に惚れて衝動的にこのクルマを選んだとしても、あなたは決して不幸にはならないだろう。

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ル・ボラン2019年10月号より転載

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