現行5シリーズ・セダンをベースにした電動試作車
BMWは6月25〜27日にミュンヘンで開催されたBMWグループのイベント「♯NEXTGen」において、新たなEVの試作車「Power BEV」を初披露した。
この試作車は、第5世代の電気駆動コンポーネントが用いられており、システム出力は720hpを超えるという。現行「5シリーズ・セダン」のボディを使用したその試作車は、停止状態から100km/hまでを3秒以下で加速できるとしている。
この試作車を開発した目的は、縦方法のダイナミクスだけでなく、横方向のダイナミクスでも印象的な車両を作る点にあるという。つまりEVでもコーナリングパフォーマンスを追求していこうというのが狙いだ。
モーターはフロントアクスルに1基、リヤアクスルに2基を搭載。リヤのモーターは左右輪を個別に制御し、トルクベクタリングの役割も持たせている。いわゆる「eトルクベクタリング」だ。察しのつくとおり、これによってどのような状況でも能動的な入力が可能になるため、たとえばガソリン車にLSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)を搭載するよりはるかに効果的かつ正確な差動制御が可能になる。
同社ではこの試作車で、新世代の電気駆動コンポーネントを搭載していながらもガソリン車と同じ居住性や積載性が確保できることを実証。量産化にはまだ技術的な課題が残されているとしながらも、遠くない将来に実現できる感触を得ているようだ。
同イベントでは、BMWチームでフォーミュラEを闘うレーシングドライバーのアレクサンダー・シムス選手がこの試作車のお披露目に登場した。
この試作車の発表により、BMWはEVモデルでも“駆けぬける歓び”をさらに加速させていく構えを強調したのである。
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