稲作に頼らない時代、きわめて豊かだった最北の地
太宰治の小説や石川さゆりの歌の影響もあってか、津軽には常に『最果て』のイメージが付きまとっている。ところが、風雪吹きすさぶ厳冬期を別にすれば、この地に寒々しい雰囲気はまるで感じられない。目の前には真っ青な海と空が広がり、緑あふれる田園の向こうに美しい山なみが続く。
津軽の豊かさを物語るものに縄文時代の遺跡群がある。青森市の三内丸山遺跡は、それまでの原始的な縄文人の生活イメージを覆すものだったし、つがる市の亀ヶ岡遺跡から出土した遮光器土偶の、まるでサングラスに宇宙服のような不思議な意匠は芸術作品としての評価も高い。当時としては、きわめて豊かで先進的な地域だったのだ。
さらに鎌倉期から室町期にかけて繁栄した十三湖( 十三湊:とさみなと)は、博多あたりにも匹敵する大きな港町で、中国や朝鮮半島、沿海州や北海道などから交易船が集まり、空前の賑わいを見せていたという。この地の豪族・安東氏は『日之本将軍』の呼称を朝廷に認めさせるほどの勢力を持っていたのだ。
近世の松前藩も、米が獲れないだけに家格1万石の小大名にすぎなかったが、函館や江差といった天然の良港を押さえ、アイヌとの交易を独占することで莫大な富を手にしていた。津軽10万石、南部20万石といった対岸の大大名が、冷害のたびに国力を衰退させていったのとはまるで対照的だった。
松前街道を訪ねたら、ぜひ立ち寄ってほしいのが眺瞰台である。中央分水嶺の本州側最北端に位置する高台からは、龍飛崎と津軽海峡を眼下に見おろし、晴れた日には対岸の北海道が手の届きそうなほど近くに見える。
観光客もほとんどいない津軽半島最北端だが、じつはこの地が、青函トンネルのできる遙か昔の時代から、本州と北海道を結ぶ重要な交易路だったことを実感できるはずだ。
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