メルセデス AMG GT S vs ポルシェ 911 ターボ、掛け値なしのガチンコ対決!【清水和夫のDST】#67-1

驚くほど実用性が高い911ターボ

一方の911はマイナーチェンジでカレラもターボ化したので、これから911はすべてターボとなる(GT3を除く)。しかし、911ターボは3.8Lなので、その出力は大きい。新型911はターボが540psでターボSが580ps。なんと600ps前後が当然の時代に突入してしまった。だが、重要なのはオーバー500psのパフォーマンスにも関わらず、911ターボは田舎道を軽トラの後ろでも、行儀よくゆっくりと走ることができることだ。300km/hでも30km/hでもスムーズに走れるエンジンとPDKがポルシェの凄さだ。PDKのダウンが鋭いのはシフトの変速時間だけでなく、コンピュータが計算したエンジンスピード(回転数)に瞬時に応えることができる、緻密なエンジン制御ゆえ。サーキットでのハンドリングはAMG GTと同じように楽しく走れるが、911ターボのほうがラップタイムが速い。しか も高速周回路の横風安定性はAMG GTを凌いでいた。

DSTの通信簿では甲乙つけがたい結果となったが、AMG GTは趣味性が高いスポーツカー。独特の個性を持っているので存在感は大きいから、そこに惚れたらAMGの世界を愉しむのがいいだろう。一方、911ターボは驚くほど実用性が高いので、マダムでもお買い物に使える。しかもゴルフバックを後席に格納することもできるし、燃費もいい。新型911ターボ(2017年モデル)は高度な運転支援も装備されそうだ。

 

ル・ボラン 2016年3月号より転載

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