宇宙一の安心感を持つインプレッサのSGP
両車とも新プラットフォームを得て生き生きとした走りを実現している。スバルのSGPは「走りと安全」というブランドのDNAをなしているし、TNGA第2弾 のC-HRはクロスオーバーSUVというジャンルだが、楽しい走りとカッコよさがキーコンセプトだ。
インプレッサは排気量違いのモデルもあるが、基本は自然吸気とAWDを組み合わせる。ターボもモーターもないパワーユニットなので、加速性能や燃費では勝負できない。だが、SGP持ち前のボディとサスペンションでは、世界と戦えるハードウェアを構築している。今後このプラットフォームを使って、XVやフォレスター、次期型レガシィなどが開発されるので実に楽しみだ。高速走行では安定性が高く、直進性が良いので走りは快適。少し路面の悪いところを走っても、うまくサスペンションだけでショックを吸収して、ボディには伝わらない。バネ上のボディはいつもフラットに保たれるから安心感は宇宙一だった。
ところが今回のテストで気になったのが、タイヤのウェット性能だ。C-HRと同じ速度で進入しても、インプレッサはフロントタイヤにハイドロプレーンが発生し、舵の効きが甘くなった。余談だが 欧州では車外通過騒音と燃費規制が厳しくなり、タイヤのウェット性能が犠牲になりかけている。前回のメルセデスEクラスとBMW5シリーズのタイヤも、ウェット性能は褒められなかった。世界的な燃費重視傾向の中で、スバルはウェット性能と燃費の両立という課題をどう乗り越えるのだろうか。
対するC-HRは、このデザインが欧州では非常にポジティブに受け入れられている。チーフエンジニアは走りとカッコ良さが売りだと断言していたが、欧米人には思惑通りのヒット。パワートレインを除けばダイナミクスでは国産車のレベルは非常に高まってきていて、昔ほど日本車と欧州車の差は大きくない。では、果たしてこの奇抜なデザインのC-HRは、どのくらい健闘していたのだろうか。
ハードウェアは新型プリウスと同じプラットフォームなので、PHEVが生まれる可能性もあり、将来が期待できるモデルだ。現状はハイブリッドとターボが用意さ れるが、今回テストしたターボは、116psと遠慮気味の1.2Lターボだった。これではアドレナリンは出にくい。将来的には1.6Lターボと6速MTを出して欲しい。そのくらいのポテンシャルをTNGAは持つはずだ。
C-HRは一見ヤンチャな風貌であるが、実際の乗り味はスバルと対照的で、とてもマイルドだった。しかも、ウェット性能に優れているタイヤのおかげで、雨の日のドライブも安心だ。乗り心地のハーシュネスは小さく、直進安定 性も高い。ステアリングのセンタ ー位置の感覚も正確で、日常域から高速走行まで満足できる。課題はターボとCVTの制御だろう。 スタイリング同様、もっと攻めてもよいのではないかと感じる。
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