過剰な演出はないが実に素直な動きを見せる
そんな見どころ満載のポロGTIは、内外装もGTIらしさが溢れ、気持ちを昂ぶらせるはずだ。フロントグリルのレッドストライプはその一例。タータンチェック柄のシートや、ステアリングホイールに施されたレッドステッチもうれしい演出だ。一方、〝ベルベッドレッド〟色のダッシュバッドは私には少し派手に思える。GTI限定でオプション設定されるフル液晶メーターのActive Info Displayは、ゴルフやパサートと異なる表示が可能だが、GTIであればセンターに大きなアナログの回転計を配置するといった大胆な提案があっても良かったのではないだろうか?
そんなことを考えながら、エンジンのスターターボタンをひと押しし、箱根のワインディングロードに向かうことにする。走り始めてすぐに気づくのが、2.0TSIエンジンの低速での余裕あるトルク。アウディA3やA4に不満のない走りをもたらすこのエンジンだけに、より軽量コンパクトなポロGTIを素早く加速することはたやすい。たいていの状況では、アクセルペダルを軽く踏んでやるだけで、ストレスのない加速を手に入れることができるのだ。
もちろん、より素早い加速が必要な場面でも、この2.0TSIはドライバーの期待に応えてくれる。アクセルペダルを深く踏み込むと、2500rpmあたりから勇ましいサウンドを伴いながら勢いを増していく。その加速に不満はないが、レッドゾーンが6500rpmであるのに対し、6000rpmあたりで早々とシフトアップするのは少し物足りない。
ワインディングロードでのハンドリングは、とりたててシャープだったり、スポーティさの過剰な演出がない代わりに、実に素直な動きを見せる。ミニやフランス勢のスポーツモデルに比べるとおとなしいが、こうした味付けはゴルフGTIやup! GTIにも共通する部分で、そこがフォルクスワーゲンらしいともいえる。
スポーツサスペンション、アクティブダンパーなどを含む〝Sport Select〟シャシー付きスポーツパフォーマンスキットを標準で採用するポロGTIは、ノーマルモードでも少し硬めの乗り心地を示すが、17インチタイヤを履きこなしており、16インチを履く標準グレードよりもむしろ快適に思えるほどだ。
その乗り心地には、装着されているミシュラン プライマシー3が貢献していると思われる。ふだん乗るにはタイヤの剛性感と乗り心地のバランスが良いのだが、思い切り加速するような場面ではもう少しグリップがほしいところで、このポロGTIにはスポーツタイヤのほうが似合うと思う。
ホットハッチの代名詞といえるGTIといっても、過激なところはなく、それでいてどんなシチュエーションでも気持ちのいい加速が味わえるポロGTI。アニキ分のゴルフGTIに比べてコーナリング時の接地感がやや劣るとはいえ、よりもひとまわり小さいボディを生かし、街中からワインディングロードまで、車との一体感を味わいながら小気味よく走らせられるのも、ポロGTIならではの魅力である。
サイズもパワーもちょうどいいスポーツモデル、それがこのポロGTIなのである。
Specification
フォルクスワーゲン・ポロGTI
車両本体価格(税込):3,448,000円
全長/全幅/全高[mm]:4075/1750/1440
ホイールベース[mm]:2550
トレッド(前/後)[mm]:1510/1485
車両重量[kg]:1290
最小回転半径[m]:5.1
乗車定員[名]:5
エンジン型式/種類:CZP/直4DOHC16V+ターボ
内径×行程[mm]:82.5×92.8
総排気量[cc]:1984
圧縮比:11.6
最高出力ps(kW)/rpm:200(147)/4400-6000
最大トルクNm(kg-m)/rpm:320(32.6)/1500-4350
燃料タンク容量[L]:40(プレミアム)
燃費(10・15/JC08)[km/L]:-/16.1
ミッション形式:6速DCT
変速比:1)2.933、2)1.791、3)1.125、4)0.810、5)0.772、6)0.636、R)3.352、F)4.769/3.444
サスペンション形式:前 ストラット/コイル、後 トレーリングアーム/コイル
ブレーキ 前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ(ホイール):前215/45R17(7.5J)、後215/45R17(7.5J)
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