モーターは後部に配置、後輪を駆動
フォルクスワーゲンが次世代を担う電気自動車のコンセプトカー「I.D.」を発表した。パワーユニットは出力125kW(170ps)の電気モーターで、1回の充電で400kmから600kmの走行が可能という実用的な航続距離を実現。フォルクスワーゲンではゴルフと同等の装備レベルと価格帯で2020年に発売する予定としており、さらに2025年には自動運転システム「I.D. Pilot」を搭載した仕様も発売することを目標に開発を進めているとのことだ。
2025年は電気自動車の販売台数100万台を達成する年としてもVWは設定しており、その鍵になるのがI.D.に初採用された電気自動車用のモジュラーエレクトリックドライブキット「MEB」だ。フロア部にリチウムイオンバッテリーを組み込み、リアアクスルに電気モーター+トランスミッションと制御系を搭載するMEBは重量配分にも優れ、I.D.では前48:後52となっている。
I.D.のサイズは全長が4100mmでゴルフよりも15cmほど短いが、ホイールベースは2750mmとパサート並みに長く、これもフロント部に大きな積載物のないMEBならではの利点といえる。なお、そのほかの部位のサイズは全幅が1800mmでゴルフと同等、全高が1530mmでゴルフより5cmほど高い。EVならではの静粛性と合わせ、快適な室内空間が期待できそうだ。
航続距離がいくら長くても充電に時間がかかるのでは実際の運用では制限が大きくなってしまうが、I.D.の場合、急速充電システムによってわずか30分で全容量の80%まで充電が可能という。30分でも給油に比べれば短くはないが、それで300km以上の走行距離を確保できる点は有望だ。望むべくはさらに半分までの短縮だが、バッテリーや充電のあり方を変えるなんらかの技術革新が2020年までにないとはいえない。その上で冒頭の通り装備レベルが同等のゴルフと同価格帯で発売されるとしたら、完全に電気自動車時代の到来となりそうだ。
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