毎秒280万のレーザーパルスを射出する「LiDAR」が貢献
4月11日、フォードは完全な暗闇の中でも自動運転を可能にする新しいセンサー「LiDAR」の実演に成功したと発表した。真っ暗闇に包まれたフォード・アリゾナ試験場で行なわれた、LiDARを搭載した自動運転研究車両による無灯火走行のデモンストレーションの様子がこちら。
ご覧の通り、テスト車は環境光が一切ない真っ暗な砂漠の中の道でも確実に車線をキープしているが、これを可能にしたのがLiDARだ。LiDARは毎秒280万のレーザーパルス射出によって周辺環境をきわめて正確にスキャンするという可視光に依存しない測量センサーで、路肩やセンターラインの白線の有無にも影響されないという。仕組みはレーダーセンサーに近いが、機能的には形状認識に特化したカメラセンサーのようなものと考えればいいのかもしれない。
フォードによれば、LiDARは単体ではなく、カメラとレーダーも合わせた3つのセンサーの組み合わせが理想的とのこと。カメラセンサーで検知できなかった箇所をLiDARでカバーすることで周辺環境の認識力を高め、遠距離に強いレーダーも組み合わせることで、早期に障害物を検出しつつ高精度に自車位置を確定して進路を決める運用を想定しているのだろう。正確な自車位置確定は、道路形状はもちろんのこと、道路標識や地形、標識、建物などのランドマークを正確に収録した高解像度3Dマップを前提としており、これは他自動車メーカー各社の自動運転技術と同様だ。
フォードでは10年以上をかけて自動運転の研究を進めており、現在はSAEインターナショナルの自動運転レベル4に相当する“手動運転も選択可能な高度自動運転”を目標に取り組んでいるそうだ。ちなみにSAEインターナショナルの自動運転レベルは0から5までの6段階が設定されており、最高のレベル5は“手動運転選択不可の完全自動運転”とされている。
なお、フォードのLiDARセンサーを活用した自動運転が実用化されたらクルマにヘッドライトは不要になるかといえば、当然ながらそんなことはないはず。道路を共用する歩行者などの側からの視認性を考えれば、無灯火車両はあまりにも危険だからだ。ライト点灯は早めを心がけましょう。
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