さて、全体的な話題以上にシーズン前半のF1を騒がせたのが「マクラーレン・ホンダ劇場」である。鳴り物入りの再婚から3年足らず。互いの実情をよく調べもせず釣書だけを頼りに「過去の栄光の復活」という甘い夢で結びついた婚姻は、当然の帰結として破綻することとなった。年間100億円超えというPUの持参金と、F1どころかどのカテゴリーでも例を見ない10年とされる超長期契約を鎹(かすがい)に保たれていた婚姻が破局に至った最大の要因は、ホンダ製PUの進化のなさにある。「3年目に入ってもなお、CAEだかCADだかで設計したものをそのまま現物化すれば問題ないと思っているのか?」と責められても仕方のないトラブルが続出するPUを見限ったマクラーレンの心変わりを責める気にはなれない。
ただ、違約金支払い義務回避のためか、裏に表にパートナーを貶め、離婚が決まってからもホンダの悪口をメディアにむかって言い立てるマクラーレン幹部の態度に、名は同じでも、ロン・デニス氏が統率しシューマッハー=フェラーリを相手に王座を争っていたかつての常勝軍団とは、まったく別のチームに成り下がったことを改めて痛感させられる。当時の主要メンバーはとっくの昔にチームを去り、資金不足を知恵で補う下位チームよりも潤沢な資金がありながら、それらとさして代わり映えのないマシンしか作れない、それが今のマクラーレンということだ。
いずれにせよ、この不毛な結婚とその結末の責任は、自分たちの技術力を冷静に見極めもせず、F1という名前と相手の看板を見て安易な妄想を抱いた末、クレージーとしか言いようのない契約を決めた当時のホンダ幹部にある。名ばかりの名門と別れ、来季から提携するトロロッソは、ともに戦うパートナーとして現在のホンダの身の丈に合っており、仕切り直しとなったF1活動の将来に新たな希望を見いだすことも可能な相手だ。なのにホンダ社内では「なぜトロロッソ?」という声も少なくないという。恐らく前身が万年資金不足の小規模チーム、ミナルディだったトロロッソの現在の実力を見くびっているのだろう。そんな社内の不遜にして蒙昧な声や、自分の立場を守るために相手を貶め続けた連中を見返すべく、ホンダの技術者たちは初心に立ち返ったうえで、謙虚に、そして大胆に、F1におけるモノ作りに挑戦して欲しい。
リポート 段 純恵
フォト 熱田 護(Chrono Graphics)
■関連記事
- 399台限定生産、マクラーレンの”スーパーカー哲学”の究極形! 「McLaren W1」が日本初公開
- 177台のマクラーレンが集結!「マクラーレン・トラックデイ・ジャパン2024」が富士スピードウェイで開催
関連記事
PHEVのスーパースポーツ「アルトゥーラ」もやって来る!その迫力を目にする好機!マクラーレン・ブース出展情報【EV:LIFE 神戸2024】
EV:LIFE KOBE2024
2024.10.31
先進のスーパースポーツ、W1の秘密がついに公開!マクラーレンとダイバージェント・テクノロジーズのコラボレーション
ニュース&トピックス
2024.10.22
ホンダの最新技術が満載された「ゼロシリーズ」に初試乗!
EV
2024.10.09
マクラーレンW1が腕時計になった!リシャール・ミル「オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ マクラーレンW1」発表!
ニュース&トピックス
2024.10.08
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>