【海外試乗】生誕50周年で大幅リフレッシュ! その走りで鮮明になる新型ゴルフの真価「フォルクスワーゲン・ゴルフ」

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日本には2021年から導入された8代目ゴルフが約3年ぶりにビッグマイナーチェンジ。8代目ゴルフの特徴である「電動化」「運転支援機能の強化」「デジタル化」がさらに進化しているという。

3年ぶりに刷新したベストセラーモデル

1974年の登場以来、ドイツの道で育てた質実剛健な走り、最新技術を手が届きやすいモデルへと民主化し、究極のスタンダードを追求し続けてきたフォルクスワーゲン・ゴルフ。誕生から50年を迎え、累計販売台数は3700万台を超えるモデルへと成長し、世界の自動車メーカーがベンチマークとする存在として君臨してきた。日本市場においては、2021年より8代目が導入されていたが、2024年7月上旬に改良モデルの概要が発表された。

新型ゴルフの予約注文は2024年9月に開始予定で、デリバリーは2025年1月に始まる見込みだ。

今回のトピックは3つある。ひとつ目はスタイリングの刷新で、日本導入モデルとしては初めて、フォルクスワーゲンのエンブレムがイルミネーションで光るものになった。堂々とした眼差しで見つめるヘッドランプは500mの照射範囲をもつ高性能メインビームを組み込んだIQ.Lightを採用。合わせて、テールライトクラスターが3Dのデザインに変わり、デジタル化を推し進めたモデルであることを主張している。

従来型の1L直3ターボエンジンは廃止され、1.5L直4ターボエンジンに統一された。試乗車は1.5L直4ターボエンジンと48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた1.5 eTSI。

ふたつ目はインパネ周りで、新型パサートやティグアンに搭載されたMIB4と呼ばれる最新世代のインフォテイメントシステムが採用されたこと。12.9インチタッチのディスプレイは大画面でありながら、運転視界を妨げない高さで、ドライバーが見やすい角度に配置されている。従来のインフォテイメントは直感性に欠けていたが、今回のものは指先で画面にタッチしたり、エアコンの温度設定を行なうスライダーの操作がしやすく、地図の縮尺を切り替える際のレスポンスも優れていて、運転中の使い心地が大幅に向上した。

コクピットには、最新のインフォテイメントシステム「MIB4」を導入。タブレット型ディスプレイは、温度と音量調節のタッチスライダーが新開発された。

3つ目はパワーユニットの構成が見直されたこと。8世代目のゴルフが登場したタイミングでは、48Vのマイルドハイブリッド車として、3気筒の1L eTSIと4気筒の1.5L eTSI、クリーンディーゼルの2L TDI 、GTIには2L TSIが設定されていたが、改良モデルはGTIに搭載される2L TSIの最高出力を20ps高めたほか、 2L TDIは続投。eTSIは3気筒を廃止して4気筒の1.5Lに一本化し、出力違いで116psと150ps仕様の2種類が設定された。これらは全て7速DSGが組み合わされ、4種類のパワーユニット、9グレードで構成される。

最上位バージョンの「Discover」は12.9インチディスプレイを採用。

116psの1.5Lは余裕をもって加速する

マイナーチェンジの進化を1日でも早く公道で確かめてみたいと思っていた矢先、ドイツで試乗する機会を得た。用意されていたグレードは本国仕様の「ゴルフeTSI Life」。日本のグレード構成で言えば、ベーシック仕様の「Active」にあたる、1.5L eTSI(116ps)+7速DSGを搭載したモデルだ。試乗コースはゴルフの生産工場があるウォルフスブルグからアウトバーンを南下し、160kmほどの距離にある緑の森と古城に囲まれた街、ハルデンベルク。

今回の仕様は1.5Lとはいえ、3気筒の1L eTSIから置き換えられた仕様ということもあり、実のところ、それほど期待せずに試乗をスタートしたのだが、実際に走りだしてみると、116psの仕様でも、モーターによる加速のアシストと、回転を高めていくことで本領を発揮するエンジンがそれぞれの強みをレスポンスよく発揮することで、余裕をもって加速する。アウトバーンの合流では、一気に車速を高めて流れに乗ることを要求されるが、しっかりとスピードを乗せていける安心感がある。車重は1320kgに留めており、重くなりすぎていないこともメリットを与えてくれている。

ヘッドライトは最上級グレードにマトリクスLEDを用いた「IQ.LIGHT」が設定され、500m先まで照らすことができるという。

試乗車のタイヤは225/40R18のブリヂストン・ポテンザS005が装着されていて、巡航時はステアリングに少しプルプルとした上下動を感じたが、日本で販売予定の標準仕様には205/55R16にインチダウンしたタイヤが装着されるそうなので、もう少しマイルドな乗り味になることを期待したい。アウトバーンでは全走車との車間を維持しながら、同一車線内をトレースして走れるアダプティブ・クルーズ・コントロールを活用して走ったが、車速の制御が秀逸なことに感心した。加減速で身体が揺すられにくく、快適だったのだ。一方で、ブレーキフィールは、ペダルを踏んだ後、ブレーキが効きはじめるタイミングにわずかなタイムラグが生じる点が少し気になった。慣れればクルマに合わせて走れるレベルではあるが、そのあたりの制御がさらに洗練されていくと、操縦安定性が増していきそうだ。

LEDリアコンビランプのデザインも変更された。

グレードは、「Travel Assist」やレーンチェンジアシストシステムの「Side Assist Plus」などの最新の運転支援システムを標準装備としたエントリーモデルの「Active Basic」からとなる。

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エントリーグレードはベストな選択になりそうだ

8代目ゴルフは、パワートレイン、シャシーともに申し分のない仕上がりだったが、タッチスイッチを多用したコクピットは評判が悪かった。そこで最新版では、タッチ操作を継続しているものの、ダイレクトにメニューにアクセスできたり、スイッチに照明を設置するなどして操作性が向上している。
パワートレインについては、1Lターボのマイルドハイブリッドが廃止され、かわりに116psの1.5Lターボのマイルドハイブリッドが登場。今回試乗したのはこの仕様で、既存の150ps版に比べて多少加速は穏やかになるが、コンパクトなハッチバックボディを操るには十分なパフォーマンスで、アウトバーンの合流でも力不足を感じることはなかった。
150ps版の1.5L同様、気筒休止システムを搭載し、比較的アクセルペダルを軽く踏む状況では頻繁に2気筒運転を行なうのが確認できた。また、マイルドハイブリッドはアクセルオフでエンジンを完全停止。これらにより、低燃費が期待できるのは見逃せない。しかも、1Lエンジンに比べると、ノイズやバイブレーションが小さいのもうれしい点だ。
18インチタイヤが装着される試乗車はやや乗り心地に粗さが見られたが、日本仕様は16インチになるため、従来のエントリーグレード同様、快適な乗り心地が期待できそうだ。
エンジンのアップグレードにより魅力を増したゴルフのエントリーグレードは、マイナーチェンジ後、ベストな選択になりそうだ。

新型ゴルフのグレード展開

eTSI Active Basic 1.5L直4ターボエンジン+7速DSG:116ps/220Nm
eTSI Active 1.5L直4ターボエンジン+7速DSG:116ps/220Nm
eTSI Style 1.5L直4ターボエンジン+7速DSG:150ps/250Nm
eTSI R-Line 1.5L直4ターボエンジン+7速DSG:150ps/250Nm
TDI Active Basic 1.5L直4ターボディーゼル+7速DSG:150ps/360Nm
TDI Active Advance 1.5L直4ターボディーゼル+7速DSG:150ps/360Nm
TDI Style 1.5L直4ターボディーゼル+7速DSG:150ps/360Nm
TDI R-Line 1.5L直4ターボディーゼル+7速DSG:150ps/360Nm
GTI TSI 2L直4ターボエンジン+7速DSG:265ps/370N

【SPECIFICATION ※欧州値】フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI ライフ
■全長×全幅×全高=4282×1789×1483mm
■ホイールベース=2620mm
■トレッド=前:1534、後:1502mm
■車両重量=1332kg
■エンジン形式/種類=-/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1498cc
■最高出力=116ps(85kW)/5000-6000rpm
■最大トルク=220Nm(22.4kg-m)/150-3000rpm
■燃料タンク容量=45L(プレミアム)
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後 225/40R18
問い合わせ先=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン TEL0120-993-199

リポート=藤島知子 フォト=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン ルボラン2024年10月号より転載

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2024/09/20 11:30

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