クリーンなルックスの無国籍感溢れるTAXI
当連載ではこれまでタクシー仕様車のカタログをいくつかお見せしてきたが、今回は第20回で採り上げた811型系日産ブルーバードに続く小型タクシーのカタログとして、三代目マツダ・カペラ(CB型系)のそれをご紹介しよう。
マツダ・カペラは、ファミリアとルーチェの間を埋める新規車種として、1970年に登場した。以後七代にわたってラインナップされたのち、その地位はアテンザ、そしてマツダ6へと受け継がれている。初代カペラはマツダ4車種目のロータリー・エンジン搭載車としてデビューした(当初からレシプロ・エンジン搭載車もラインナップされていた)が、1978年に登場した三代目以降は、カペラにロータリーは組み合わされていない。
ところで、ここでCB型系カペラを「三代目」と表現することに違和感を持たれる方も少なくないかもしれない。「これは二代目では?」と。初代カペラは1974年に、排ガス規制への適応のためもあって比較的大きなマイナーチェンジを行っているのだが、マツダではこれをフルチェンジとして考え、以降のモデルを二代目としてカウントしているのである。この世代分類を受け入れると、このCB型は三代目となるわけなので、この記事もそれに従って記述している。
さて、その三代目カペラは1978年10月に発売された。ボディ形式は4ドア・セダンと2ドアということで先代とほぼ同じだが、2ドアはクーペからハードトップへと変化している。そのスタイリングは欧州車感覚のクリーンなもので、フロントノーズの傾斜を強くし、さらにグリルを傾斜させるなどして空力性能を重視しており、Cd値は0.38(ハードトップ)を達成していた。
レイアウトはFR、サスペンションは前ストラット/後ろ5リンク・リジッド。エンジンは先述の通りロータリーはなくレシプロのみで、直列4気筒OHCの1.6Lと1.8Lを搭載。欧州戦略車であったこともあり、その走行性能はなかなかハイレベルにまとめられていたという。1979年3月には2Lモデルを追加、1980年9月にはマイナーチェンジで後期型へ移行。そしてデビューからきっちり4年後の1982年9月、四代目へとフルモデルチェンジを果たしている。
後期型タクシー仕様は約6年生産されたロングライフモデル
ここでお見せしているのは、マイナーチェンジでグリルとヘッドライトがツライチになった後期型のタクシー仕様(1.8L=CB2VS型)のカタログである。このカタログは営業車のものとしてはページ数が多く、表紙を含めて全12ページ。サイズは294×249mm(縦×横)。
カペラは1982年のモデルチェンジ以後も、営業用モデルに関してはこの三代目が継続して生産・販売されており(四代目カペラの営業用車はまた別に存在)、その生産は1986年8月まで続いたとのことだが、このカタログにはコード類の記載がなく、発行年月について正確なところはわからない。なお、表紙のメーカーロゴ上のキャッチ「個性あざやかに~」は1984年前半まで使用されていたものとのことだ。
カタログの作りとしては、やはり営業用車らしくビジネスライクなものである。セールスポイントのアピールなどが大きく太く記載されているので、ビジネスライクを通り越して、スーパーマーケットのチラシのような趣さえ感じさせるが、用途を考えればこれで良いのであろう。
最後に筆者自身の印象を述べておくと、当時このカペラ・タクシーを実際に見たという記憶は、残念ながらない。生まれ育った千葉市では小型タクシーの活躍は意外と少なく、また小型タクシー自体、マツダ車の使用は少なかったと思われる。加えて筆者自身の好みから、子供時代はタクシーと言えばセドリック/グロリアにばかり注目していたせいであろう。むしろ当時は、テレビの「土曜ワイド劇場」でカペラやルーチェのタクシーをよく目にした記憶があり(マツダが提供であったためだ)、そういった意味で懐かしい車種なのであった。
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