アレンジの妙を模型による再現で実感
例えば、繊細な味付けに定評のある高級料亭にて、おもむろにマイ・マヨネーズを取り出し料理に掛けて食したとする。果たしてその味は……せっかくの料理長の味付けを台無しにするものであるばかりか、それを目撃した同席の面々も顔をしかめることであろう。
【画像36枚】オリジナルなデザイン処理とその再現過程を見る!
今回1/24スケール・プラモデルで制作した348ザガート・エラボラツィオーネ(以下348ザガート)の出で立ちには、そんなシーンを想像させられてしまう。兄貴分テスタロッサの特徴的な部分を上手く引継ぎコンパクトにまとめあげた、ピニンファリーナの繊細なデザインによる348に、容赦なくザガート調味料をふんだんに掛け、混ぜ合わせて出来上がったアクの強いその味。ある者は「絶品」と舌鼓を打つであろうし、ある者は近寄りがたい嫌悪感を抱くであろう。
ザガート(ZAGATO)はイタリア・ミラノの名門カロッツェリア。天才デザイナー、エルコーレ・スパーダの活躍と共に、1960年代からヨーロッパの数々のメーカーに向けたスペシャルモデルを生み出してきた。アストンマーチンDB4 GT ZAGATOやアルファSZ、TZ、ジュニアZ、そして小さなアバルト達……このカロッツェリアが生み出した珠玉の作品達を挙げていけば、それだけで誌面が尽きてしまう。
日本においては、1990年代初頭に日産・オーテックと共同開発した「ステルビオ」は良くも悪くも大きなインパクトを持って迎えられ、近年ではトヨタと組んでリリースされた、ハリアーやMR-Sベースのカスタムカー達も記憶に新しい。348ザガートの登場は1990年だが、しかしながら当時日本ではあまり紹介されていなかったようだ。当時は前述のステルビオや、組み立て生産を請け負ったアルファSZ(ES30)などが脚光を浴びており、この黄色い個性の塊は、その容姿も相まって少々不遇な扱いを受けていたように思われる。
そんな個性的な348ザガート、今回はハセガワ製のフェラーリ348をベースに制作してみた。ザガート自体自分たちでアルミ板からボディを作ってしまう集団であるため、ベース車両があるとはいえ改造箇所は多岐にわたる。まずは「348 ZAGATO」と画像検索でもして頂いて、その容姿を頭に叩き込んでからこの先を読み進めていただきたい。
正確な位置出しに留意しつつ丁寧に改造する
エクステリアは、丸型が反復する前後のランプ類や、アウトレットが規則正しく並ぶエンジンフードなど、一見単純な要素の集合体であるが、逆にそれぞれの位置関係にズレがあると案外目立つもの。プラ板等を挟むなどして正確な位置出しを心がけたい。フロントフード、サイドダクトも、NACAダクトを模した特徴的な造形となり、屋根もザガートのアイデンティティであるダブルバブル・ルーフとなる。これについては画像をなるべく多く見て、最大公約数的な形状で決めていく。
エンジンルームでは、エンジンリッドの窓から見えるイエローのFERRARIロゴが良いアイキャッチとなる。赤みの少ない明るい黄色は、クレオスのキアライエローに、ガイアのEXホワイトを少量添加した。インテリアはハンドルやシートを専用デザインに加工し、シートベルトを取り付け。コンソール中央には「CASIO」製の液晶ディスプレイが備わる。
このような非常に個性的なディテールを持つ348ザガートであるが、じっくりと噛みしめてみるとなかなかいい味を出しているようにも思える。また贔屓目に見れば、サイドダクトの曲面的なデザインや、ダックテール状に跳ね上がったテールスポイラー、丸型リアランプなど、後のF355に少なからず影響を与えているようにも感じる。名門ピニンファリーナの料理長も彼らの独創的な味付けに少しは影響を受けたのかもしれない。
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