ベース車の更新に併い、自然なスタイルに進化
ミツオカ・ビュートは、光岡自動車が手掛けるレトロ調乗用車である。現行のビュート・ストーリーで四代目を数えるビュートだが、その初代モデルは1993年に発売された。
【画像49枚】見事なまとまりを見せる二代目ビュートとその制作過程を見る!
光岡自動車は富山県に本拠を置き、1968年の創業以来、中古車や輸入車の販売を手掛けてきたが、1980年代からはクラシックカータイプのレプリカ車製造で知られるようになってきた。そんな光岡自動車が1993年1月に発売したのが、日産マーチ(二代目)をベースに前後デザインをジャガー・マーク2風に改造したビュートで、以降、同社は同様のレトロ調乗用車の製造を盛んにおこなうようになり、1996年には自動車メーカーとして認可されるに至っている。
ビュートのネーミングは、美しく遊ぶ人「美・遊・人」に由来するものとされている。コンパクトカーであるマーチに、堂々としたサルーンであるジャガー・マーク2の前後デザインを(特にフロント周りはそのまま)繋げたようなルックスは、クラシカルな味わいとファニーな雰囲気が同居したもので、確かに「遊び心」に満ちたものと言えるだろう。同年発売のスバルのサンバーディアス・クラシックなどとともに、レトロ調自動車の代表格となり、そのムーブメントを牽引した。
マーチは2002年にモデルチェンジを行い三代目へと移行しており、ビュートもこれに合わせてモデルチェンジを行う。その発売は2005年9月のことで、これがこの記事の本題となる二代目ビュートである。モチーフとなっているのは初代同様にジャガー・マーク2で、本来ハッチバックであるマーチにトランクを付け足して3ボックス・セダンとしている点も初代と同じだが、ベース車のキャビン形状が非常に丸みの強い形をしているためか、この二代目の方がデザインのまとまりは良いようだ。
モデルチェンジ直後のマーチはエンジンラインナップを1L/1.2L/1.4Lとしていたが、2005年のマイナーチェンジでは1.2L/1.4L/1.5Lとなったため(1Lはそれより前に廃止)、ビュートもこの3種類のエンジンを搭載している。なお、1.4Lは4WD車のみで、これもマーチと同様。トランスミッションはエクストロニックCVTと4速ATがあったが、前者は1.5Lのみ、後者はそれ以外との組み合わせとなる。
登場翌年の2006年12月には、ビュートの誕生15周年を祝って、各エンジン搭載車に15周年記念特別仕様車を設定した。これは内外装の仕上げをさらにアップグレードしたもので、インテリアには本革シートを採用、外装にはメッキパーツを増やし、新色のブラックメタリックをカラーバリエーションに加えるなどしている。2008年3月にはグレード構成を一新し、1.2Lにベーシックモデルの12STを新設。これは各種装備を省略したもので、5速MTも設定されていた。
2009年1月には、ファイナル・ビュート・アニバーサリーを発売。これは専用のボディカラーや本革シートなどを装備したモデルで、その名が示す通り生産終了に伴うものであった。ここで生産終了の運びとなったのは保安基準適合に問題を抱えていたためだが、ファンからのラブコールに応えるかたちで同年10月、基準適合のためのマイナーチェンジを行い、無事に生産・販売が継続されている。
2010年6月にはベース車のマーチ生産終了(もちろんモデルチェンジのため)に伴い、記念モデルの特別仕様車ヴィンテージを発売。そしてビュートも2011年6月に販売終了となったが、翌年5月、四代目マーチをベースとした新型ビュートへとモデルチェンジを果たしている。
作りたい人も案外少なくないのでは…?
さて、ビュートは四世代全て、プラモデル化はなされていない。ここでご覧いただいている作品は、実車同様にマーチ(フジミ製1/24スケール)をベースに、ボディ前後をタミヤのジャガー・マーク2から移植して、ビュートに仕立て上げたものである。ジャガー・マーク2を見てビュートの偽物だと思う人まで出てしまうほど、大変ポピュラーな存在となったビュートだけに、その模型を作ってみたいと思う人も少なくないのではないかと思われる。ぜひ参考にしていただきたい。
もちろんジャガーがモチーフになっているとは言っても、ビュートのフロントマスクがジャガーの形そのままという訳ではないだろう。実車のビュートがどのように造形されたものか、その詳細までは明らかにされていないはずだが、マーチをベースとしてその形を自然にまとめるために、様々なアレンジがされているのではないだろうか。それでも、こうしてマーチにジャガーの前後を継ぎ足してまとめると見事にビュートになるというのは、なかなか驚きである。
制作の詳細については、写真とそこに添えたキャプション、そして追って公開する後編の記事をお読みいただきたい。
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