2.6Lインタークーラーターボ搭載の末期モデル
1980年代を代表する国産車と言えば、いくつかの車種が候補に挙がるだろう。1982年にデビューし、1990年までの8年もの間販売された三菱のスペシャリティカー、スタリオンなども、その有力なひとつと言えるのではないだろうか。
【画像31枚】独特のエグい迫力が魅力満点な後期スタリオンとその制作過程を見る!
ここでお目にかけているのは、その三菱スタリオンのフジミ製1/24スケール・プラモデルをベースに、キットの初期型から、後期型(ワイドボディ)のGSR-VRへと改造した作品である。この作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の262号(2018年)における巻頭特集のために制作されたものだが、そのときに併せて掲載された解説(作者・吉田氏によるもの)を、以下、お読みいただこう。
「今回は三菱スタリオンを制作してみた。スタリオンは、ギャランΛの後継機種として1982年に発売され、1990年にGTOにバトンタッチするまで8年に渡り生産された、三菱を代表するスポーツカーである。エッジの効いたシャープなスタイリングにリトラクタブルヘッドライトを備えたその姿には、1980年代を感じずにはいられない。
思い起こせば、同世代のZ31型フェアレディZやA60型セリカXX、FC型RX-7なども同様な雰囲気をまとったデザインであり、1980年代当時の国産車のトレンドが、シャープエッジ・スタイルやリトラクタブルヘッドライトであったことが見て取れる。スタリオンは、映画『キャノンボール2』や、刑事ドラマ『ゴリラ 警視庁捜査第8班』などで劇中車としても活躍したので、そうした面から印象に残っている方も少なくないだろう。
今回は、個人的に好みなグレードであるGSR-VRを制作することにした。GSR-VRは他のグレードとは異なる、ブリスターフェンダーを纏ったボディが特徴だ。2000㏄版が1987年に限定車として発売され、その人気の高さから1988年、2600㏄エンジンを搭載し正式なモデルとしてラインナップに加えられた。シャープエッジ・スタイルとブリスターフェンダーの織り成すコンビネーションが、今あらためて見ると、たまらなく新鮮でカッコいいと思う。
スタリオンのキットは実車現役当時に、前期型のGSR-Xがバンダイ(1/20)とフジミ(1/24)から、後期型のGSR-VR(前述の『ゴリラ』仕様)がアオシマ(1/32)から発売されているが、現在、模型店で入手可能なものはフジミの1/24だけである(注:この作例より後にBEEMAXからグループA仕様のキットがリリースされており、これはプラッツ/ヌヌに引き継がれて2023年6月現在でも入手可能である)。
手間がかかるからこそ楽しい、そこがプラモの面白さ
制作にあたり、フジミのスタリオンをベースにしたのだが、このキットはナローボディであるため、VR化するためにはブリスターフェンダー、前後スポイラー、サイドステップ等々ひと通り追加しなければならず、それらを綺麗に成形するには、かなりの手間と時間がかかるのだ。考えただけでも面倒で少々腰が重くなる。
しかし、実際にやってみると思いの外、この作業が実に楽しいのである。と言うのも、本誌の読者の皆さんなら経験ある方も多いと思うのだが、パテを盛っては削り、盛っては削りを繰り返しオバフェンやらスポイラーやらを追加して市販車仕様のキットをチューニングカーに改造して、昔は楽しんだものだが、今回の作業も、ほぼそれと同じだったのである。
また、キット自体も昔のキットであるためヒケやモールドのガタも盛大であり それらを少しずつ整えシャキッとした姿になっていく様も相まって、これぞプラモ改造の醍醐味ではないか!と思う程の楽しさだった。最近の手間のかからないキットももちろん魅力的だが、古い手間のかかるキットにも、手間のかかるキットにしか無い魅力がある気がしてならない。それは、具体的には上手く言えないが、簡単に出来ないから楽しい、苦労するからこそ楽しい、みたいな感覚なのかもしれない。あれっ? ちょっとまてよ!? 私は、ドMってことなのか???(笑)」
文中に注記したBEEMAXあるいはプラッツ/ヌヌのキットについては、グループA仕様でありつつ裏面や室内はしっかりと再現されているので、作例と同じような改造をする場合は、そこからシャシーやインテリア(の一部)を流用することも考えられる。また、もちろんそちらのキットを初めからベースとすることも可能であろうが、GSR-VRへと改造するには、フェンダーのワイド化などは作例と同様の作業をする必要があるだろう。そうしたことも念頭に置きつつ、工作中写真のキャプションをお読みいただきたい。
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