ボクらのヤングタイマー列伝:第23回『三菱エクリプス』ギャランベースでありながら日本車離れした雰囲気を纏うスペシャリティクーペ!!

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという、かつて小社WEBサイトでひっそり!? 連載していた伝説の連載、その進化版がこの『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は三菱エクリプスをピックアップ! イラストは当連載らしく!? 北米仕様も入ってますヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第22回『ロータス・エクセル』の記事はコチラから

5マイルバンパーとサイドマーカーがつき塗装が変わるだけで、なぜあれほどに”アメリカン”になるのか!

 

ご存知のとおり現在は日産&ルノー・アライアンス傘下となっている三菱自動車。そういった意味でも十分にワールドワイドなメーカーですが、ちょっと前までは今よりも多くの海外自動車メーカーと業務提携を行っていました。中でも1970年から2009年まで深い関係にあったのがクライスラーです。1970年代〜1980年代のアメリカ車はまだサイズが大きく、逆に北米へ進出を始めた日本車は性能が良く燃費に優れており、コンパクトモデルの存在も含めて大きな脅威でした。そこでクライスラーは、三菱のいろいろなモデルを用いて弱かった小型車の商品力アップを図るのです。もちろん、三菱自身もクライスラーの販売網で自車を販売できるメリットがありました。

1970年代には、『ランサー・セレステ』をクライスラーの1ブランド『プリムス』から『アロー』という名前で発売したほか、『ギャラン・ラムダ』も『ダッヂ・チャレンジャー』(!)として販売するなどしました。そして1985年。アメリカが日本車輸入規制を強めていたこともあって、三菱とクライスラーは合弁会社『ダイアモンド・スター・モーターズ(Diamond-Star Motors=DSM)』を設立。三菱のバッヂエンジニアリング・クライスラー以外にも、三菱車をベースにしつつも外観を完全にクライスラーのそれとしたクルマも数多く生み出していきました。

ああ、今月も前置きが長くなりました……(涙)。今回のお題、『三菱エクリプス』は、そのDSMで開発、生産されたスペシャリティクーペです。初代は1989年に登場。ギャランをベースにリトラクタブルライトを採用するスタイリッシュなボディを載せたモデルで、ベースのギャランそのままに、4WD+4G63型ターボエンジンという刺激的な仕様も用意。兄弟車イーグル・タロン、プリムス・レーザーとともに北米で大ヒットとなったのです。

1990年からは日本にも上陸しましたが、三菱車でありながら純粋に北米向けに設計されていたエクリプスは左ハンドルのみが販売されたこともあって、やはり日本車離れした雰囲気が漂っていました。ドアを開け座るだけでシートベルトが自動で装着されちゃう仕組みも、初代エクリプスに乗るたびに「ああ〜アメリカン!」と思わせてくれましたっけ。

そうなんです。日本車も北米向けになった途端に急激にカッコ良さが増す気がするので、個人的に北米仕様が大好き! 5マイルバンパーとサイドマーカーがつき塗装が変わるだけで、なぜあれほどに”アメリカン”になるのか……。それは現在のクルマも同じで、まさに北米仕様マジック! 今回もイラストは日本仕様と北米仕様では”見せ方”を変えています。北米の写真は概ね夕方、夕日、ライトオンのギラギラシチュエーション。カタログ写真だけでもお国柄が出るのは面白いですよね!

カー・マガジン478号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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