海外旅行先で見かける日本車に、国内で見るのとはまた違った格好良さを感じることはないだろうか。ボディカラーや少々のディテールの違いだけなのに、格段に異国の雰囲気を漂わせているのだ。しかも、それらほとんどが実は日本国内の工場で製造され、輸出されていると言うのに! このRX-7 10thアニバーサリー・エディションもそんな1台だ。1978年のRX-7デビューから10年を記念して、1988年に北米市場で1500台限定として発売されたもので、TURBO Ⅱと呼ばれるターボモデルをベースとしている。専用デザインの16インチ7スポーク・ホイールや、本来ブラック処理のウェストモール、テールレンズのフレームまでもが、濁りのないクリスタルホワイトでペイントされ、より一層の特別感を漂わせている。
内装は輸出仕様の特徴でもある2シーターをベースに、「10th~」文字の型押し加工されたステアリングや、MOMO製のシフトノブなどが奢られ、シートはブラックレザー仕立て。ウィンドウは北米モデルでは唯一のブロンズガラスであった。
ホイールはウクライナ製!
本作例ではタミヤのRX-7でこの限定モデルを再現してみた。このモデルの再現で最大のネックとなる専用ホイールは、東欧・ウクライナのDiolex Productionというブランドから、そのものズバリのパーツが発売されており、随分と近道できたと言うより、このホイールを見つけたのでこの限定車を制作した、と言った方が正しいかもしれない。これに、タミヤ70スープラから流用したグッドイヤーを履かせ、US気分を盛り上げていく。フロートタイプのリアスポイラーはアオシマ後期型の部品を加工流用。北米仕様のドアミラーも、キットパーツにエポキシパテの盛り削りで再現した。前後サイドマーカーはキッチリ位置出しして孔を開け、透明素材をはめ込む。質感を合わせるため、フロントウィンカーもくり抜いて透明化。面白いのは、国内ではスモールランプとなるフロントレンズが、輸出仕様では素通しとなり、平行に昇降するヘッドライトが、内部に格納された状態で透けて見える点だ(ライトを上下させずにこのレンズを通してパッシングができる)。
北米仕様のレンズがポイント
作例でもバンパーをくり抜き、中央の固定ピンを切除したレンズを嵌め込んだ。実車は内部が透けているためレンズが暗く見えるので、スモークを塗装し雰囲気を近づけてみた。リアハッチの凸文字エンブレムは、ZoomOn製メタルインレットを使用。実車は文字もボディ色なので、凹凸を潰さない程度に薄くホワイトを吹いた。文字の凹凸がかすかに見えるであろうか。2シーター化された内装はキットの後席部を切り抜き、プラ板でフラットな形に作り変え、ステアリングもアオシマ後期型のパーツを流用。ガラスのブロンズ色は少量のオレンジとブラックをクリアーで割って調色、薄く徐々に色を着けていく。クイックモーターライズ版のキットがあれば、その流用も可能であろう(透明部品がスモーク色成型だった)。エンジンルームのデカール類は北米モデルに合わせた自作品に置き換え、フェンダーに備わるローター型のエンブレムも、自作デカールとプラ板の組み合わせで自作した。この世代の日本のスポーツカーは、特に北米市場において、ホワイトに塗られた特別仕様がいくつか存在する。300ZX(Z31)のSS仕様やスープラのホワイトパッケージなど、似たような出で立ちかつ異国の雰囲気を持った同輩を並べてみるのも、一興かと思う。
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