各自動車メーカーはEVモデルのラインナップを拡大しているが、とりわけ輸入車は、デザイン性、走行性、ユーティリティ性など、ブランドの個性を押し出したモデルに注目が集まっている。ここでは、そんな個性派EVを揃え、いま選ぶべきEVモデルを考察した。
インポートEVは個性派がメインストリーム
EVへの関心が高まるなか、2022年はコンパクトEVの選択肢が増え、これまで以上にEVが身近な存在になる。サイズや価格が手頃なことに加えて、一世代前に比べて、バッテリー容量が増え、航続距離もパフォーマンスもワンランクアップ。「そろそろEVに乗り換えよう」と思う人も少なくないのではないだろうか。そこで今回は、最新の輸入コンパクトEVのなかから個性派の3台、すなわち、ヒョンデ・アイオニック5、DSオートモビルDS3クロスバックEテンス、そしてボルボC40リチャージを選び、その魅力に迫ることにした。
約12年ぶりに日本での販売を再開したこともあり、注目を浴びているのがヒョンデのアイオニック5。販売がオンライン方式だけであるとか、車種がZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)の2モデルのみといった周辺の話題もさることながら、斬新なデザインと高いスペック、充実の装備、そして優れたコストパフォーマンスなどが、関心を集めている理由だ。
今回試乗したのは最上級グレードのラウンジAWDで、前後あわせて305ps/605Nmの2モーターで4WDを構成。72.6kWhのバッテリーを搭載することで航続距離は577kmを誇る。この数字を見ただけでも、アイオニック5の駿足ぶりがうかがえるが、実際に走らせても期待どおりの素早く安定した加速を見せ、EVならではの爽快な走りが楽しめる。
3000mmと長いホイールベースが特徴のアイオニック5は、広いキャビンも見どころのひとつで、充電や駐車中に休憩をとったり、あるいは小さなモバイルオフィスとして仕事をするには打ってつけ。たとえば、少し身体を休めたいときには、スイッチひとつで簡単にリクライニングするフロントシートが重宝するし、ノートPCを開いて仕事をするときには広いリアシートが快適なワークスペースになる。しかもこのクルマの場合、リアシート下部に100Vコンセントが用意されるのでPCのバッテリー切れは心配無用。ちなみに100Vコンセントが設置されるおかげで、CEV補助金が通常よりも20万円アップの85万円になるのも見逃せない点だ。
ラグジャリーな室内が魅力のDS 3クロスバックEテンス
3台のなかで、一番ボディサイズが小さいのがDS 3クロスバックEテンスだ。全長を比べると、アイオニック5が4635mm、C40リチャージが4400mmであるのに対し、DS 3クロスバックEテンスは、この2台を大幅に下回る4120mmである。全高も1550mmと低めで、SUVというよりハッチバックに近いクロスオーバーであることがわかる。
小さめのボディということもあり、搭載されるバッテリーは50kWhと少なめで、航続距離は398km。前輪を駆動するモーターも100kWと控えめだが、車両重量が1570kgと比較的軽いぶん、加速には十分余裕がある。一方、よりコンパクトなボディのDS 3クロスバックEテンスは、5.3mの最小回転半径を誇り、狭い道でも扱いやすく、小回りが利くのがうれしいところだ。フランス車らしいしなやかな走りや軽快なハンドリングも、DS 3クロスバックEテンスの美点のひとつだ。
もちろん、美しく仕立ての良い室内も、このクルマの魅力を後押ししている。白が基調の室内は、シートに加えて、ダッシュボードやドアトリムに美しいダイヤモンドステッチが施され、グロスブラックの操作パネルとのコントラストが上質さを際立たせる。スムーズな加速や高い静粛性などと相まって、実に心地よい移動空間を提供してくれるのだ。プレミアムコンパクトを超えた「コンパクトラグジャリーSUV」を名乗るのも納得できる仕上がりである。
パワフル&サステナブルで新価値を演出するC40
ボルボXC40と同じCMAプラットフォームを採用するのが、EV専用モデルのC40リチャージだ。XC40に比べて全長が15mm長く、全高が65mm低いC40リチャージは、弧を描くルーフラインや伸びやかなフォルムにより、スポーティなクロスオーバークーペに仕立て上げられている。インテリアデザインはXC40に準じているが、このC40ではボルボとして初めて本革の使用を止め、リサイクル素材を含む合成素材を利用。また、Googleと共同開発した新しいインフォテインメントを搭載するなど、ボルボの最先端テクノロジーに触れることができる。
そんなC40リチャージには、1モーターのFFと、2モーターの4WDが用意され、今回は後者のC40リチャージ・アルティメット・ツインモーターを引っ張り出したのだが、そのスペックがすごい! 前後モーターを合わせた最高出力は408psと、コンパクトEVとしてはトップクラスの性能を有しているのだ。実際に走らせてもその速さは圧巻で、鋭い加速はスポーツカーも顔負け。2モーターによる4WDだけにトラクションもきわめて高く、加速時の安定感も実に優れている。低重心と適切な前後重量配分のおかげで、コーナリング中の姿勢は安定しており、ハンドリングもスポーティ。一方、アクセルペダルを穏やかに操作すれば、ゆったりと走らせることも可能。前後アクスル間の床下に収められる78kWhの大容量バッテリーにより、航続距離は485kmを達成し、また、急速充電は150kWの高出力に対応するなど、コンパクトEVの基準を打ち立てることになりそうだ。
今回採りあげた3台は、ともに最新のテクノロジーを搭載しながら、それぞれが異なる強い個性を放つ魅力的なEVに仕上がっている。今後もニューモデルが続々と登場するだけに、自分にあった一台がきっと見つかるはずだ。
【Specification】ヒョンデ・アイオニック5ラウンジAWD
■全長×全幅×全高=4635×1890×1645mm
■ホイールベース=3000mm
■車両重量=2100kg
■総電力量=72.6kWh
■一充電航続可能距離=577km(WLTC)
■モーター最高出力=300ps(225kW)/2800-8600rpm
■モーター最大トルク=605Nm(61.7kg-m)/0-4000rpm
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=255/45R20:255/45R20
■車両本体価格(税込)=5,890,000円
■問い合わせ先=HYUNDAIカスタマーセンター ☎0120-600-066
【Specification】DSオートモビルDS 3クロスバックEテンス
■全長×全幅×全高=4120×1790×1550mm
■ホイールベース=2560mm
■車両重量=1580kg
■総電力量=50kWh
■一充電航続可能距離=398km(JC08)
■モーター最高出力=136ps(100kW)/5500rpm
■モーター最大トルク=260Nm(26.5kg-m)/300-3674rpm
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=215/55R18:215/55R18
■車両本体価格(税込)=5,420,000円
■問い合わせ先=ステランティスジャパン ☎0120-92-6813
【Specification】ボルボC40リチャージ・アルティメット・ツインモーター
■全長×全幅×全高=4440×1875×1595mm
■ホイールベース=2700mm
■車両重量=2160kg
■総電力量=78kWh
■一充電航続可能距離=485km(WLTC)
■モーター最高出力=408ps(300kW)/4350-13900rpm
■モーター最大トルク=600Nm(67.3kg-m)/0-4350rpm
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/45R20:235/45R20
■車両本体価格(税込)=6,990,000円
■問い合わせ先=ボルボ・カー・ジャパン ☎0120-922-662
ヒョンデ・アイオニック5公式サイト
DSオートモビルDS3クロスバックEテンス公式サイト
ボルボC40リチャージ公式サイト
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