シトロエンブランドの新たな旗艦モデルが「C5 X」だ。そのスタイルは、セダンのエレガンス、ステーションワゴンのダイナミズム、そしてSUVのトールスタイルを組み合わせたユニークなモデルに仕上がっていた。注目のファーストインプレをお届けしよう。
シトロエンの新フラッグシップ
C3にせよC4にせよ、最新世代のシトロエンのフロントマスクは共通している。中央にあるブランドロゴのダブルシェブロンの両端がそのまま上下2本の平行線となって左右に伸び、両端で上下に分かれてそれぞれヘッドランプユニットの一部となる。2021年に発表され、今年後半に日本導入される予定のC5 Xにもその手法は踏襲された。全幅の広いクルマに適用するとワイドさを強調するデザインだ。
同社のセダンとワゴンに使われてきた「C5」という車名は2015年にいったん途切れ、最近ではC5エアクロスSUVが引き継いでいたが、クロスオーバーを意味するXというひと文字を追加して、セダン、ワゴン、SUVを掛け合わせたユニークなパッケージングのフラッグシップサルーンにも用いられることになった。
C5 Xには1.6L直4ガソリンターボエンジンと、そのエンジンにモーターを組み合わせたPHEVの2種類が設定される。いずれも8速ATと組み合わせられ、前輪を駆動する。今回試乗したのはC5 Xハイブリッドだ。シトロエンはPHEVをハイブリッドと呼ぶ。
PHEVはグループ各ブランドのC5エアクロスSUV、プジョー508、DS4、DS9あたりが用いるのと同じシステムで、C5 Xには総電力量12.4kWhのバッテリーが搭載される。
バッテリー残量に余裕がある場合、EV走行を基本とし、高い負荷をかければエンジンも加勢する。システム上の最高出力は225ps。発進から高速域まで余裕のある動力性能が得られる。
最近のシトロエン各モデルには同社自慢のアドバンスト・コンフォートシートが備わる。もちろんC5 Xにも採用され、肉厚の低反発系クッションは、腰を掛けると身体が適度に沈み込み、面でホールドしてくれるのが心地よい。長時間走行時の疲労の少なさはC5エアクロスSUVやC4で確認済みだ。
またプログレッシブ・ハイドローリック・クッションなるセカンダリーダンパーを用いたダンパーシステムも各モデルに採用され、路面や速度を問わず、常にソフトで快適な乗り心地を乗員に振る舞うが、全長4805mm、全幅1865mm、全高1485mm、ホイールベース2785mmという堂々たるサイズのC5 Xに組み込むと効果抜群。
さらにダメ押しとしてアドバンスト・コンフォート・アクティブ・サスペンションなるシステムが、ハイブリッドに限り装備される。詳細な説明はなかったが、DS4やDS9に設定される、フロントカメラで前方の路面を常時スキャンし、通過する予定の路面の凹凸を識別し、ダンパーの減衰力をリアルタイムで最適化するアクティブ・スキャン・サスに相当するシステムと思われる。入力を受けてボディが動き過ぎるケースがあるシトロエン特有の挙動を適度に抑え込んでくれる。
結果、C5 Xの浮遊感がある乗り心地は快適すぎて病みつきになるレベルに達していた。往年のシトロエンワールドを最新技術によって完全復活させたのがC5 Xと言える。デザインが過去のリバイバルでないのもいい。
日本導入が楽しみ過ぎるモデルだが、一点、本国にもディーゼルの設定がないのが残念だ。
【Specification】シトロエンC5 Xプラグインハイブリッド・シャインプラス
■全長×全幅×全高=4805×1865×1485mm
■ホイールベース=2785mm
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1598cc
■最高出力=180ps(132kW)/6000rpm
■最大トルク=300Nm(30.6㎏-m)/3000rpm
■システム最高出力=225ps
■システム最大トルク=360Nm
■燃料タンク容量=44L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F&R)=205/55R19
■問い合わせ先=ステランティスジャパン ☎0120-55-4106
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