同じFDであっても模型メーカーの解釈で印象は異なる
1991年に第三世代のRX-7としてFD3S型は登場した。1/24スケールの模型化に関しても今はなき『ROSSO』がいち早く発売したのを皮切りに、タミヤ、アオシマ、フジミなどが追随、ハセガワは1/12のビッグスケール版を発売するなど、非常に模型に恵まれることになった。車の販売が終了してから14年の歳月が経過した今も、昨年アオシマが新規金型パーツを追加して、中期にあたる4型を発売するなど、その人気を物語っている。ここでは、そんな人気のFDを題材に、模型メーカーごとに異なる造形アプローチの違いを楽しんでいただきたい。採り上げたのは現在最新のFDキットであるアオシマ製(4型)、そして比較的入手が容易なタミヤ製(R1:輸出仕様)のキットである。どちらも組み立ては容易で、甲乙つけがたい(つける必要もないが)好キットだ。
アオシマ、タミヤのFD3S型のプラモデルキットは、共に実車の登場間もない1992年にリリースされている。タミヤは日本仕様のアンフィニRX-7タイプR、輸出仕様のマツダRX-7 R1(エンジン付き)の2種をリリースする一方、アオシマは得意のバリエーション戦略でここに列記するのが難しいほどのアイテムをリリースしている。これまでは基本カスタム路線のバリエーションキットが多かったが、昨年には永らく不在だった中期型(4型)を追加するなど、ノーマル系の充実にも力を入れている。
同じ車種で選択肢のある贅沢を遊ぶ
面図で比較すると、タミヤの方がひとまわり小ぶりな印象がある。とくにグリーンハウスは、タミヤの方が上方に絞りこまれ、より車高を低く見せる効果を狙ったディフォルメが加えられているようだ。タミヤはフロントのオーバーハングも短い。サイドシルの“弓なり形状”もタミヤはグッと絞りこんで”くびれ感”が強調されている。梅雨の時期、お好きなFDで自分好みの仕様を製作してみてはいかがだろう? ギャラリーでそれぞれのディテールを是非比べてみて欲しい。
小顔を狙ったタミヤ
人間で言う頬骨部分が削ぎ落されて、鼻先がとがった印象のタミヤに対して、アオシマはふくよかなラインで構成されている。フロントフェンダーの盛り上がりもタミヤはよりグラマラスに強調されている。
両者良好な印象のコックピット
インテリアに関してはダッシュボードの印象はアオシマの方が彫りが深く、実車に近い印象だが、シートやステアリングなど、実車がソフト素材を使う部分の質感表現はタミヤに軍配があがる。サイドウィンドウの形状の違いにも注目されたい。
安産型かシェイプアップか
テールはウィングの形状の差異が一番に目に飛び込んでくるが、左右テールライトハウジングの感覚を見ると、離れがちのアオシマ、寄りがちのタミヤと大きく異なる。フロント同様タミヤはかなり後方に向かってボディが絞り込まれている。
丸みのタミヤ、角張ったアオシマ
真上から見ると、タミヤが丸っこく、アオシマが角張って見える。FDのプロポーションをグラマラスに見せたいとするタミヤと、ロー&ワイドに見せたいとするアオシマのスタンスの違いが見てとれる。タミヤの方がグリーンハウスがコンパクトでルーフの面積自体も左右に狭いことがわかる。