スバリスト垂涎のコンプリートカー
レオーネの後継的な意味あいも兼ねて生まれたスバルの代表車種、インプレッサ。そのデビューは1992年のことで、カローラ・クラスのボディにスバルお得意の水平対向エンジン(1.5~2L)を搭載。ボディは4ドア・セダンのほか2ドアのクーペと5ドア・ワゴンを用意、兄貴分のレガシィとともにワゴン・ブームを盛り上げた。それよりも大きいのはやはりWRCでの活躍で、レガシィRS譲りの2Lツインカム・ターボ(240PS)を搭載したWRXによって、1995、1996年と連続してマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得している。
2代目モデルは2000年に登場、丸いヘッドライトのフロントマスクが物議をかもしたが、モデル期間中2度のマイナーチェンジを行い、徐々に精悍な顔つきへ変化を遂げている。先代同様にセダンとワゴンがラインナップされ(クーペは消滅)、WRCでの活躍も同様に続いた。こうしてインプレッサが歴史を紡ぐ中で、STIが開発を担当したコンプリートカーがSシリーズである。STIとはスバルテクニカインターナショナル、スバルのモータースポーツ活動などを担当する子会社で、Sシリーズは歴代インプレッサやレガシィをベースに展開された。
その第1弾、S201は初代インプレッサをベースとしたものであったが、2代目インプレッサをベースにS202、S203とリリースを重ね、2006年に送り出されたのがS204だ。S204は、2代目インプレッサの中でも後期型となる、いわゆる“鷹目”(2005~2007年)のWRX STIをベースとしている。
完成車両の必要部分を一旦分解、オリジナルパーツ(フロントアンダースカートやリアウィング、レカロ製シートなど)を装着し、EJ20型エンジンにもチューニングが施されていた。その性能は最高出力320ps/最大トルク44.0kg-mというものだったが、S204ならではの特徴は、何と言ってもパフォーマンスダンパーの採用だった。これは、サスペンション取り付け部をタワーバーなどで繋いで剛性の向上を図るのではなく、ダンパーで結んでボディへの入力そのものを減衰させてしまうという、画期的なアイテムであった。
ここまでお見せしているのは、このS204を再現した1/24スケールのプラモデルだが、そのもののキットは発売されておらず、この作品は実車同様に、鷹目WRXのキット(フジミ)をベースとして各部を改造している。フジミ製インプは、WRX、WRX STI、WRX WR-リミテッドなどバリエーションが多く展開されており、しかもそれぞれが実車のディテールをしっかりと再現しているのだが、作例のように改造をしようと思うと、この点が逆に厄介なことにもなる。各キットには各仕様に相応しいパーツしか付属せず、他仕様のためのパーツが不要部品として含まれていたりはしないからだ。改造にジャストなモデルをベースに選ばないと、加工内容が増えてしまうのである。
エアロパーツほか専用部品を自作や流用で再現!
この作例の場合はWR-リミテッドをベースにすれば、エアロパーツに関しては基本的にリアウィングの自作だけですむのだが、用意できたのが素のWRXだったので、フロントも要自作となってしまった。まずボンネット表面にヒケが目立つので瞬間接着パテで修正。リップスポイラーの自作は、まずバンパー下部のラインをマスキングテープに転写しプラ板を切り出して基礎とした。実車画像を参考に一段ずつ作っていく。リアウィングはキットパーツを分割ラインで切り分け、上側をベースに自作。側面の角度が違うので内側に切り込みを入れて角度を修正、隙間をSSPで埋める。上面は後方に立ち上がりがあるので、0.5mm角棒を接着して高さを決め瞬着パテでスムーズに修正。
S204のホイールはBBSなので、形状が似ているフジミのBBS-REを使用する。19インチなので径が大きいため、スポーク部を切り出して18インチのリムに組み合わせる。④コンパスカッターでリム内側サイズの円を切り出したものをスポークに貼り、不要部分を削除。これを別のリムに組み合わせて出来上がり。
これを仮組みしてみると車高が高いのでフロントを2mm、リアを1mm落とす。このキットは足周りが繊細なので、次のような方法を採った。まず、ストラットが貫通するサイズまでシャシーの孔を拡大。プラ板にも十文字をケガいてからシャシーと同径の孔を開ける。今回はシャシーの厚み1mm+1mmプラ板で計2mm。この分車高が下がることになる。シャシーにプラ板を接着。十字を合わせればキャンバー角は維持できる。ロアアームを撓らせればサスを固定できる。洋白線をJ字型に曲げ、シャシーにはドリルで孔を開けておき、アームに引っ掛け裏側に引っぱればOK。位置が決まったら洋白線を裏で折り曲げ固定する。
作者はこのようにして、前述のような逆境にもめげずにS204を完成させた。シャシー裏面にはパフォーマンスダンパーも再現されている。参考にして頂ければ幸いだ。
■関連記事
- DTMのBMWからNASCAR、さらに3輪トラックまで!プラッツ取り扱い海外プラモ、注目の新製品【CARSMEETモデルカー俱楽部】
- 爆発!的人気のTVドラマ車両がプラモ界も席捲!?その力を最大化したのは…【アメリカンカープラモ・クロニクル】第38回
関連記事
屋根が外れる!オーディオルームが見える!!ニチモの超傑作「タウンエース」 名作キット列伝・第4回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.29
可愛い真っ赤な「大人のオモチャ」に激震!?…1978年最速の1台がコレ!!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第37回
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.26
最良の組み合わせで最高の作品に!タミヤ+フジミで作る「ポルシェ911ターボ」第1回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.15
崩壊へのカウントダウン!?「こんな時どんな顔をすれば…」「笑えばいいと思うよ」【アメリカンカープラモ・クロニクル】第36回
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.10.12
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>