【フロントライン】「メルセデス・ベンツMBUXハイパースクリーン」巨大スクリーンに注目!

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2022年登場のEQSに標準搭載

メルセデス・ベンツのBEV攻勢は、別項で紹介したEQAに止まらない。今年中にはSクラスのBEV版であるEQSが登場する。まだ正式発表はされていないが、昨今同社の開発センターを頻繁に出入りするカムフラージュされたテスト車両を見る限り、下の予想CGに非常に近いスタイルであることが想像できる。

インスツルメントパネル全面がデジタルディスプレイとなるEQSのMBUX。助手席専用のメニューも7種類用意されるという。

EQSはすでに市販されているEQCとは違い、EV専用のMEA(モジュール・エレクトロ・アーキテクチャー)の2世代目を採用。床下にレイアウトされるリチウムイオン電池(中国のCATL製)による最大航続距離は700km(WLTP)に達するという。これにはチーフデザイナー、ゴーデン・ワーゲナー率いるデザインチームによる、空力特性に優れたクーペ風のボディデザインも大きく貢献しているはずだ。
さらに注目は、ハイパースクリーンと呼ばれる次期MBUXの搭載だ。この新しいインフォテイメントディスプレイは今回、初のリモート開催となったCESのスターだった。左右Aピラー間の長さ141cm、面積0.24平方メートルのプラスチック製フレームに囲まれた有機ELディスプレイ(OLED)は3枚で構成。その表面は650度で処理を施した曲面のアルミノケイ酸ガラス製で、傷がつかず、あらゆる方向からも読み取れ、乱反射を起こさない。しかも、万が一の衝突の際には計算された場所が安全に折れるようになっている。ちなみに、一見デジタルに見える左右のエアアウトレットは、操作も含めてアナログとなる。

一見してエアコンの吹き出し口もデジタル? と思わせるが、もちろんここは従来どおり。それにしても巧みなデザイン処理だ。

様々なメニューが呼び出せるデジタルディスプレイはもちろんタッチ式で、直感的な操作が可能。ドライバー正面はOLEDではなく通常の液晶画面で、ここに3D表示がはめ込まれている。また、助手席用のメニューにはビデオ鑑賞を含め7種類が用意されているが、ドライバーの脇見を防ぐためにパッセンジャーがいない場合は起動しない。AIの役割はさらに拡大し、たとえばナビゲーションには「トラベル・ノレッジ(旅の知識)」と呼ばれる機能が付加。「あの建物は何?」と聞くと、詳細な情報を答えてくれる。さらにはGPSデータから路上のスピードバンプやガレージの高い敷居などを超える前に、「車高を上げませんか?」という提案までしてくれる。

メルセデス・ベンツEQのフラッグシップとなるEQS。クーペ風のフォルムが特徴的で、今年中には正式発表される見込みだ。

昔のSF映画『ナイトライダー』に登場した知能を持つクルマは、いよいよ現実のものとなった。

リポート:キムラ・オフィス ルボラン2021年3月号より転載

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